アメリカン・ギャングスター

アメリカン・ギャングスター [DVD]

アメリカン・ギャングスター [DVD]

 デンゼル・ワシントンラッセル・クロウ主演の実録ギャング映画。ワシントンが麻薬ビジネスで、のしあがる黒人ギャング。ラッセル・クロウは賄賂を受け付けない犯罪摘発に燃える麻薬捜査官。最後に、ワシントンは逮捕されるのだが、クロウの求めに応じて、ニューヨークの汚職・麻薬捜査官の摘発に手を貸す。一番悪いのは、権力を利用して、ギャングから賄賂は取るは、摘発した麻薬は裏ルートで横流しするは、と、やりたい放題の警察官たちという感じ。ただ、それで最後に、ワシントンとクロウがハイタッチでもしかねない雰囲気だと、ちょっと、どうよ、という気もする。
イヤー・オブ・ザ・ドラゴン [DVD] で、この映画を見ていて面白かったと言うか、興味深かったのは、この黒人ギャングが、麻薬ビジネスのイノベーターだったということ。それまで大手の犯罪組織ルートで入ってきた麻薬は加工されていて、純度が低く、品質に問題があった。それを産地直送で打開しようと、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のジョン・ローンのように単身、インドシナ(黄金の三角地帯?)まで乗り込み、麻薬産地と直結するパイプを構築、純度100%の麻薬の調達先を確保するとともに当時、ベトナム戦争で米国とインドシナの間を軍の輸送機が飛び交っていたのを利用して、米国内への輸送ルートを開発する。流通革命だったのだな。ベトナム戦争の時代であったからこそ、できた麻薬帝国だったのかもしれない。ベトナム戦争の終焉とともに、この麻薬帝国が崩壊したというのも、わかる。というか、そういうコンテクストで、映画が展開されていた。
 監督はリドリー・スコット。悪徳麻薬捜査官をジョシュ・ブローリンが憎々しげに演じていた。
アメリカン・ギャングスター (ソフトバンク文庫)