2011年はミリオンセラーが続出したのだとか。過去の震災の年と何が違うのか。考えてしまった...

オリコン年間売上部数ランキングから見て取れるのは、ミリオンセラーの多さだ。期間内推定売上部数が100万部を超えたのは、文芸書としては『1Q84 BOOK1』(21年)以来の1位となった『謎解きはディナーのあとで』以下7作。昨年の2作を大幅に上回り、集計を始めた19年以降で最多となった。(略)ただトップ10のうち23年に刊行されたのは3作だけで、上位の顔ぶれは昨年と一部重なっている。3位『体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食』と4位『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は、それぞれ昨年の4位と1位。

 年間ベストセラー・ランキングが出てくるシーズンだが、2011年は書籍のミリオンセラーが多かったという。で、ミリオンセラーとなった1位から7位の顔ぶれは、こんなところだったらしい。

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~

体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~

続・体脂肪計タニタの社員食堂

続・体脂肪計タニタの社員食堂

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

 うーん。ダイエットものが4作。しかもシリーズ。あとは、テレビドラマ化された推理小説に、ビジネスピープル自己啓発系。時代が見えては来るなあ。こういう時代なんだなあ。こう見ると、ダイエット系も含めて、テレビの影響力はまだまだ強いのだなあ。マスセールスにはやはりテレビが効くのだろうか。しかし、後世の人たちが、東日本大震災が起きた年に何を読んでいたのか、と調べた時、登場するのは、これらの本なのか。
 ちなみに阪神・淡路大震災があった1995年のベストセラーというと...*1
遺書

遺書

松本

松本

ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙

ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙

 『ソフィーの世界』が出版された年かあ。ちょっと知性を感じさせる。内向の年か。
 関東大震災があった1923年のベストセラーとなると、データの信憑性がよくわからないが、久米正雄の『波船』、谷崎潤一郎の『愛なき人々』など当時の文壇の大御所の名前が並んでいる*2。リストには中里介山の『大菩薩峠』の名前を見える。今度の震災で最評価された寺田寅彦ペンネームである「吉村冬彦」名の本も2冊ある。美濃部達吉の『憲法撮要』とか、石原純アインシュタイン相対性理論』とか、お堅い本も入っている。インテリが学術書を読む時代でもあったのだな。確かにベストセラー・リストを見ると、時代が見えてくる。
 となると、2011年はベストセラーを見る限り、未曾有の天災に襲われながら、大方の日本人は体型から心まで自分自身のマネジメントに夢中だったということになるんだろうか。うーむ。それとも、本が時代の心象風景を反映する時代が終わったということなのだろうか。

*1:1995年 ベストセラー30 - 日本著書販促センター => http://bit.ly/uaEcpT

*2:1923年 ベストセラー:日本著書販促センター => http://bit.ly/tuRKEP