アイルトン・セナ 音速の彼方へ
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2011/11/23
- メディア: Blu-ray
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巨額の資金が動くショービジネスでもあるF1レースで、巨額の資金が投資されるハイテク・マシンで勝負するということは、レーサー個人の能力を超え、政治的な力が働くようになる。最初は純真だったセナが次第に疲れていく様が表情に出てくる。レースだけでなくて、その前の主催者とレーサーのドライバーズ・ミーティングの風景も出てくるのだが、ここに出てくるフランス人のFIA会長は横柄極まりなく、レーサーをバカにしている。で、同国人のプロストとは仲がいい。1989年のF1チャンピオンは、この二人に奪われたという感じ。
サンマリノの事故も伏線として電子制御を禁じたFIAのレギュレーションの変更があり、政治が影をさす。このレースの前のセナは苦悩に満ちている。車が不安定で、完成度がきわめて低く、危険であることがわかっているのに、多くのスポンサーや投資家がいるF1ビジネスのために逃げることはできなかったという感じ。まさにF1ビジネスに身も心も殺されたという印象を持つ。既にF1チャンピオンを3度も制しながら、過去に思い出の残るレースを聞かれて、カート時代をあげ、カネも絡まず、政治もないピュアなレースだったというのが哀しい。
映像は世界各国の記録が利用されているのだが、F1中継華やかなりし頃のフジテレビの映像が使われていた。セナの死を告げる中継もフジのものだった。日本でも愛されていたから。ただ、ホンダに関する言及はまるでなかった。ホンダがF1を撤退してから、セナの不幸が始まったような印象だったのだが、セナの不幸はその前からあったのだなあ。一方、最後の字幕で紹介されるのは、セナの財団の管財人がアラン・プロストであること。政治家だなあ。