松田賢弥『角栄になれなかった男 小沢一郎全研究』
- 作者: 松田賢弥
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 単行本
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一方で、陸山会事件では、検察側の問題について触れていないことには、やや違和感もある。裁判や捜査で出てきた秘書たちの発言は、検察の捏造問題と無関係なのものか、信用性の検証がなされたものかどうかがわからない(これは執筆時期との問題だろうか)。このあたり、親小沢派の人たちには突っ込まれるのかもしれないなあ、と思ってしまう。
離縁状スクープについては、夫人の精神状態が安定していないという週刊誌の報道*2も出ているが、この松田氏の本を読むと、田中角栄にしても、小渕恵三にしても、小沢一郎に裏切られ、心身を病んでいく。竹下登も金丸信も捨てられる。権力のためには手段は選ばない非情さの一方で、マザコンで母にはとことんやさしかったという。小沢一郎氏に同情的な「小沢家の問題」記事と、この本で描かれた小沢一郎氏はつながっているところがある。ちなみに、前段の記事(ウェブ版)には愛人問題が出ていない。情緒不安定になったとすると、これが最大の原因のようにも思えるが、なぜないのだろう。「小沢氏への人物破壊」の中に愛人問題の暴露が入っているのだろうか。
ともあれ、小沢一郎という人を知るうえでは、必読の本かもしれない。小沢一郎氏としても、この本の批判に正面から反論・論破して欲しいところだなあ。カネに関する問題はやはり理解不能な点が多すぎ(巨額過ぎ)、透明性が欠落している上に、合法であればなんでもいいのか、というところがある。
最後に目次で内容を見ると...
第1章 非常のルーツ
第2章 田中角栄の秘蔵っ子
第3章 裏切り、そしてまた裏切り
第4章 権力の源泉ーー使途不明金
第5章 元秘書・高橋嘉信・衝撃の告白
最終章 カネこそわが力ーー小沢事件の本質
で、読んでいて思ったこと。資産管理にあたって、小沢一郎氏は夫人の名義で資金を管理したり、不動産を取得したりしていたが、これって離婚したら、どうなるのだろう。当然、夫人名義の資産はすべて夫人のものなのだろうけど。その結果、いろいろなものが見えてきたりするのだろうか。
*1:小沢一郎夫人が支援者に「離婚しました」 - 週刊文春WEB => http://bit.ly/KsGO9R
*2:小沢一郎・元代表と和子夫人 「離婚報道」に至るまでの経緯 - NEWSポストセブン => http://bit.ly/MKhatn