本田直之『ノマドライフ』

ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと

ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと

 副題に「好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと」とあるように、遊牧民のように、どこでも、いつでも仕事をするノマド生活を実現するためのテクニックを紹介したHACKS的ノウハウ書というよりも、その心構え、生き方、ライフスタイルを説いた本。だから、「ノマド・ハックス」ではなくて、「ノマド・ライフ」なんだな。目次で内容を見ると、こんな感じ...

Chapter 1 なぜ、ノマドライフなのか?
Chapter 2 ノマドライフの実践ーーワークとテクノロジー
Chapter 3 ノマドライフの実践ーーお金と生活
Chapter 4 ノマドライフの実践ーー思考のトレーニング

 筆者は、ハワイ6、日本4、その他の国2と、移動しながら、仕事をする生活を続けているという。で、筆者によると、ノマドライフとは...

 仕事と遊びの垣根のない、世界中どこでも収入を得られるノマドビジネスを構築し、2カ所以上を移動しながら、快適な場所で生活と仕事をすることで、クリエイティビティや効率性、思考の柔軟性が向上し、それがいいスパイラルになるライフスタイル。

 なるほど。で、こうした生活を実現するためのステップとして、6つのフレーズがあるという。

第1フェーズは、「ベースをつくる時期」
第2フェーズは、「方向性を模索する時期」
第3フェーズは、「未来につながる実績を残す時期」
第4フェーズは、「転換期」
第5フェーズは、「実践期」
第6フェーズは、「シェアの時期」

 やみくもに会社を捨てて、街へ出よう、というわけではなく、会社で力を蓄えつつ、ステップを踏んで、やっていきましょうという。ただ、会社には落とし穴もあって...

「会社を愛するだけでなく、その仕組みから何かを学び取る」という貪欲さをもつことをおすすめします。

 会社、特に大きな会社ほどそうだけど、優秀さが、その会社の仕組みの中での優秀さになってしまって、会社の外では力を発揮し切れない汎用性のないビジネスパーソンになってしまうリスクがある。そのあたりが指摘されている。会社の外でも通用する経験を積まないと、ノマドにはなれないだろうなあ。また、ノマドとして独立してからには、こんな注意も。

 特に「雇わない」というのは、大切なポイントです。人をたくさん雇っていると、身動きができなくなります。

 組織から自由になろうと思って独立して、今度は自分がその組織のためにがんじがらめになってしまうパラドックス。あるなあ。
 すぐに読めてしまう本だが、いろいろと刺激もあって、ベストセラーになるのもわかる。