週刊朝日、「ハシシタ」連載を中止。オンブズマンが検証しないのかな

週刊朝日」が日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自を題材にした連載記事を掲載し、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、出版元の朝日新聞出版は19日、連載を中止すると発表した。週刊朝日の河畠大四編集長は「同和地区などに関する不適切な記述が複数あり、このまま連載の継続はできないとの最終判断に至った」との談話を発表した。

 問題なのは「橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している」ことではなくて、人権の問題だと思うけど、ともあれ、週刊朝日は連載中止を決める。橋下市長はTwitterで、週刊朝日だけでなく、朝日新聞も取材を拒否した利用を書いている。

週刊朝日そしてその会社の朝日出版社は、今回の記事を悪いなんて全く思っていなかった。謝罪コメントを出す直前まで、自社のツイッターで2回目も期待して下さいね!なんてやっていたんだから。こういう者を相手に話しても何も解決しない。こうなれば朝日新聞社の良識に委ねるしかない。

朝日新聞は建前は週刊朝日とは無関係だと言うだろう。しかし朝日新聞グループとして影響力があるのは間違いない。朝日出版社週刊朝日は、今回の記事の問題性など全く認識していないどうしようもない集団だが、朝日新聞社には、やっぱり違うと考える人もいるだろう。だから交渉相手は朝日新聞社だ。

 なるほどなあ。弁護士らしい。そして、新聞が応えたといえるのだろうな。今回の連載中止では、朝日新聞もコメントを出している。

朝日新聞社広報部の話》 当社は、差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢を貫いています。当社から2008年に分社化した朝日新聞出版が編集・発行する「週刊朝日」が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下徹大阪市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています。

 「差別や偏見などの人権侵害をなくす報道姿勢」を伝統にしてきた新聞社が、なぜ、あの記事を載せたのかは謎だなあ。佐野眞一氏も『東電OL殺人事件』など良い仕事をしてきたノンフィクション作家なのに、どうして、あのような記事を書いたのか。編集者は方法論に疑問を呈すなり、助言することはなかったのか。
 というわけで、週刊朝日は、ここでただ謝罪し、連載を中止するだけでなくて、どのような意図で今回の記事を企画し、どのような取材、編集の末に掲載に至ったのか、 そして抗議、取材拒否をどのように捉え、連載を中止するに至ったのか、ということについて検証することはないのだろうなあ。当初、企画の意図はどこにあったのか。あそこまで一線を越える記事を載せたことは確信犯で大騒動になることを計算していたのか、それとも差別の歴史に対する無知だったのか、あるいは編集上のテクニカルなミスと考えているのか。そうした検証をしないと、市長に取材拒否されたから連載をやめたのか、差別と人権の問題のためなのか、曖昧になっていく。朝日新聞が書いてもいいし、外部の作家・ライターにオンブズマンとして書いてもらってもいいし、やらないのだろうか。そうしないと本当の教訓にならない。

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

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