千田嘉博『信長の城』

信長の城 (岩波新書)

信長の城 (岩波新書)

 タイトルに惹かれて読んでしまった。信長が生まれた城から最後に築城した安土城に至るまで、その構造から信長の思想と時代の変遷を追うという魅力的なテーマの本。文献史学、考古学、絵図・地図・航空写真分析、建築史学、政治・経済・社会史といった各分野にまたがる研究を踏まえての学際的な探求であるところがまた面白い。一方で、学問的研究は細部に入っていくため、少々、読み飛ばしてしまったところもあるが、建築物は思想を体現するものだと改めて思う。桶狭間小牧・長久手の戦いなど合戦の解説もある。城はもう研究され尽くされているのかと思ったら、進化していたのだなあ。それもまた面白い。読み終わって、岐阜や安土に行ってみたくなった。
 目次で内容を見ると、こんな具合...

序 章 城跡から考える天下統一の時代
第1章 信長の城の原風景
第2章 小牧山城−−尾張の新首都
第3章 岐阜城−−戦国期拠点城郭の姿
第4章 安土城−−天下人の城
終 章 信長の城とは何であったか

 第1章に登場するのは、勝幡城那古屋城、清須城。この時代は興味が尽きないなあ。日本人のアニマルスピリットが全開で、ワイルドだった時代だなあ。