加地倫三『たくらむ技術』

たくらむ技術 (新潮新書)

たくらむ技術 (新潮新書)

 「アメトーーク!」「ロンドンハーツ」の演出・プロデューサーのテレビ論にして仕事論。番組の裏話も出てきて面白いのだが、真っ当な仕事論でもある。会社という組織の中で、いかに自分がやりたいことを実現するのか、という指南書として参考になる。そして大切なのは「リスペクト」の精神なのだなあ。この本のなかでは、芸人さんであったり、スタッフであったり、視聴者であったりするのだが、この心構えは、どんな仕事でも変わらないのかもしれない。
 目次で内容を見ると...

1...バカげた企みほど手間をかける
2...企画は自分の中にしかない
3...会議は短い方がいい
4...勝ち続けるために負けておく
5...文句や悪口にこそヒントがある
6...「イヤな気持ち」は排除する
7...計算だけで100点は取れない
8...マジメと迷走は紙一重
9...企画書を通すにはコツがある
10...かわいがられた方が絶対にトク
11...仕事は自分から取りに行け
12...常識がないと「面白さ」は作れない
13...芸人は何を企んでいるのか
14...「企み」は仲間と共に

 こういう人が作っているから、面白いのだな。で、印象に残ったところ...

 キヤリアを積んでいくと、どうしても自分なりの「ルール」や、「こだわり」が増えていきます。そういうものが全くないのも問題なのでしょうが、「ルーツ」や「こだわり」が選択肢を減らす方向につながると、発想が不自由になったり、手かせ、足かせになってしまうのではないでしょうか。僕はあえて「逆に」を考え、視野を広げるようにしています。

 これは、どの仕事にも共通することだなあ。そして高齢化がもたらす閉塞感というのは、ここにあるともいえるような気がする。