ワールドカップ準決勝。ミネイロンの惨劇−−ドイツが母国開催のブラジルを7−1で粉砕

ブラジルW杯は8日、準決勝を行い、ベロオリゾンテミネイロンスタジアムではブラジル代表とドイツ代表が対戦した。試合はドイツが前半だけで5ゴールを量産するまさかの展開。最終スコア7-1で開催国を撃破した。ブラジルはエースのFWネイマールが準々決勝のコロンビア戦で腰椎骨折の重傷を負い、チームを離脱。この日はキャプテンのDFチアゴ・シウバも出場停止という苦しい陣容だった。

 ワールドカップ・ブラジル大会。母国開催のブラジルは「優勝候補」としてメディアの注目を集めてはいたものの、どこか、今ひとつ力強さに欠けている印象があった。後出しジャンケンみたいな話になってしまうが、試合が始まる前から(たとえ、ネイマールチアゴ・シウバが出ていたとしても)決勝に進むのは、絶頂期を迎えた選手を揃え、組織力、戦略力で勝るドイツではないかと思っていたのだが、ここまでの圧勝になるとは想像もつかなかった。セットからの先制点はブラジルにとってきついだろうが、想定内の出来事。しかし、早く同点に追いつこうと前がかりになるブラジルをドイツがカウンターを浴びせ、クローゼが追加点、さらにクロースが矢のようなシュートでゴールを決めると、ブラジルは壊れてしまった。
 母国開催のプレッシャーのためか、ドイツの組織的な波状攻撃のためか、3点が入ったところで、ブラジルは頭が真っ白になっている感じで、守備の陣形も崩壊し、ゴール前にドイツの選手が目立ち、体を張って止めに行く選手の姿も目立たくなる。そして前半で5−0。もう、ここで試合は終わってしまった。ブラジルのサポーターが泣いている姿をテレビは映し、スタンドは静まり返ってしまっていた。
 後半に入り、ブラジルも反撃に出るが、守護神、ノイヤーの壁は崩せず。ブラジルに敬意を評しているのか、あるいは、5点差でも少しの油断で何が起きるのか、わからないと思っているのか。ゴールを堅め、カウンターを繰り出す。そして、シュールレが2本ゴールを決める。特に2本目のゴールは豪快だった。この見事なゴールに、ドイツ・サッカーの迫力に感動したのか、あるいは、やけくそなのか、ブラジルのサポーターからも拍手があがる。さらには後半、ブラジルのフレッジがボールを持つだけでブーイング。得点がとれないフォワードに愛想が尽きたのかどうなのか。ブラジル崩壊という感じで、痛々しかった。
 終了間際、さすがにドイツの守備も甘くなり、オスカルが何とか1点を返すが、結果は7−1。このあまりの惨敗に試合後、オスカルはチアゴ・シウバに抱かれながら、泣いていた。ダビド・ルイスも泣いていた。ブラジルは、ネイマールという天才に頼りすぎたのか、組織的な熟成の時間がなかったのか。まずは、チアゴ・シウバも帰ってくる3位決定戦で勝つことだろうが、その後は、ブラジル・サッカーの検証・再建の時なのだろうなあ。ともあれ、ブラジルが、サッカー王国としてのプライドをズタズタに切り裂かれた1日だった。ドイツは、その強さを改めて見せつけたが、これだけ大勝してしまうと、かえって決勝へのメンタルの持って行き方が難しくなるだろうか。
 明日は、アルゼンチンとオランダの準決勝。ファン・ハール監督率いるオランダが、メッシのアルゼンチンと、どう戦うのか。こちらは接戦だろうか。何となくオランダが勝ちそうな気がするのだが...。
ドイツに大敗のスコラーリ監督、「人生最悪の日」 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース
ブラジルの心情を慮るレーブ 「ドイツも2006年に…」 - Goal.com