ゴーン・ガール

 デビッド・フィンチャーの昨年の話題作。面白いには面白いんだけど、結構、無理なストーリー展開ではある。WOWOWで放映している英国ドラマ「主任警部アラン・バンクス」を見ていても、捜査にあたっての第一声は「周辺の監視カメラを洗え」だが、そうした地道な足取り捜査の気配がない。ミズーリを舞台に設定したのは、そうしたテクノロジーがあまり配備されてない田舎町である必要があったからだろうか。こうした点、意外と英国系の犯罪映画のほうが現実を加味しながら、リアルティのある仕上がりになっている。取調室の尋問は録音され、容疑者が希望すれば弁護士の同席は当然で、そのなかで捜査していく。英国系には現実感がある。一方、この映画もそうだが、米国系はテクノロジーの話を散りばめながらも、ストーリーに都合のいいところで、つまみ食いしているみたいなところがある。
 と、いいながらも、ベン・アフレック、キム・ディケンズなど、お気に入りの俳優も出ていて、役者は楽しめる。ロザリンド・パイクは、世間知らずのお嬢様みたいな役が多かったが、これで一皮向けたのか。ゲイで同性婚しているニール・パトリック・シーハンがヒロインをストーカーする役どころというのは、キャスティングで遊んでいるのかな。