このワールドカップ、波乱万丈の下剋上大会? スペイン、PKに沈み、ロシア8強

 8年前の南アフリカ大会ではスペイン無敵艦隊。その残像が長く残っていたが、最近は…、特に、この大会をみていると、時代が変わったな、と思ってはいたものの、FIFAランキング70位のロシアを相手に、まさか...

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 PK戦に持ち込まれ、スペインは沈没。スペインのディフェンス陣、ロシア大会では、どうもピリッとしなかった。この試合でもピケはハンドでPKをとられ、セルヒオ・ラモスも、ふっと気の抜けた危ないプレイがあった。ティキタカは健在だったが、ゴールにつながらなければ怖くない。

 ロシアが5-3-2なのか、5-4-1なのか、ガチガチにゴールを固めると、そうは簡単には攻略できない。PKまで持ち込まれたら、ロシアに利があるかと思ったら、そのような展開になってしまった。考えてみれば、ロシアはナポレオンの侵略にもヒットラーの猛攻にも耐えて耐えて最後は勝った国。それぞれの国のサッカーにはこうした民族のDNAも反省されるのだろうか。

 今回の大会、このスペインにしても、ドイツにしても、ポーランドにしても、前評判の高かった強豪国に精彩がなかった。なぜ、なのだろう。スペインは大会直前に監督が解任されたり、ゴタゴタしていたし、世代交代の問題もあったのだろうか。世界各国がスペインのティキタカ対策を知ってしまったこともあるのかな。いくらボールを支配されても、シュートまでつながらなければ、ボールを相手に預けているだけ、とか。

 そういえば、レアル・マドリードを率いてバルセロナとの激闘を演じたモウリーニョはこんなサッカー哲学を持っていたという話を読んだ記憶がある。

「これはボールロストの試合だ」という言葉には次の戒めが込められていた。①試合に勝つのはミスをしない者だ。②ぶつかり合いは相手のミスを誘った者が優位に立つ、③アウェイでは相手を打ち負かそうとせず、ミスを誘うようにせよ、④ボールを持つ者はミスをする、⑤ボールを諦めた者が相手のミスを誘う、⑥ボールを持った者は脅えている、⑦ボールを持たない者は強くなる−−。これらの教理はスペインを2008年と2012年のEURO連覇、2010年のW杯制覇に導いたもの、大部分のリーガのチームが教え説いているものと正反対だった。Rマドリーの選手の大半が本当に信じているものに反していた。

ディエゴ・トーレス『モウリーニョvsレアル・マドリー「三年戦争」』 - やぶしらず雑記録

 「ボールを持たない者は強くなる」ーーボールを支配するバルセロナに対するアンチテーゼというか、屁理屈のようにも聞こえる、この美しくなくても、しっかり勝ち切る戦術、スペインでは嫌われたが、有効だったか。ロシアは、この言葉に勇気をもらっていたかもしれない。

 いずれにせよ、ホームのサポーターの力は偉大なり。ロシアは大観衆からも勇気をもらっていた。大番狂わせはグループリーグまでのことで、決勝トーナメントに入れば、変わるかと思ったら、相変わらずの波乱万丈。今回のワールドカップ、下剋上大会の様相を呈してきた。日本にとっては心強い。