「ソウル・ステーション パンデミック」ーーゾンビよりも怖いのは人間という社会派ゾンビアニメ

「新感染 ファイナル・エクスプレス」が面白かったので、こちらも見てみました。

  「新感染」が実写映画・第1作だったヨン・サンホ監督がアニメでつくった「ソウル・ステーション/パンデミック」。「新感染」のオリジナルとなる同じストーリーのアニメかと思ったら、全く別のゾンビ物語だった。

 実写版よりも、格差、弱者切り捨てなど韓国の社会問題をストレートに描いている。そして、見ているうちに感じるのは、ゾンビ以上に怖いのは人間であること。自己犠牲の美しさと他人を蹴落としても生き残るとする醜さ、人間がもつ両面を描くことは「新感染」も同じだが、「ソウル・ステーション」は人間の暗部をより執拗に描き、救いを残さない。

 ストーリーは最後まで想定を裏切り、よくできている。ただし暗い...。脚本は「ソウル/ステーション」がヨン・サンホで、「新感染」は、パク・ジュソク。ヨン・サンホ本人が書いたほうがよりダークな世界になる。

 「ソウル・ステーション」は「新感染」の前日譚ということになるらしいが、ソウル駅とゾンビが共通するだけで、両作にそれほどつながりがあるわけではない。むしろ、ソウル駅には、ホームレスのたまり場になっているのか、ということが印象に残る。

 考えてみれば、日本も新橋駅によくホームレスがたまっていた。最近、あまり夜の新橋駅に行っていないので、わからないが、あの人たち、いまはどうしているのだろう。景気が多少は良くなって、ホームレスは減ったのだろうか。それとも東京オリンピックに向けてホームレスは目につく場所から排除されているのだろうか。

 いろいろと考えさせられるゾンビ・アニメでもあります。

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ウンベルト・エーコの「永遠のファシズム」を読んでいると、これって今の話じゃ...

 NHKEテレの「100分 de 名著」、今月はウンベルト・エーコの『薔薇の名前

www.nhk.or.jp で、なんか、ウンベルト・エーコが気になって、この本をめくってみた。

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

永遠のファシズム (岩波現代文庫)

 

  5つの時事評論が収録されていて、この中から本のタイトルにもなっている「永遠のファシズム」を読んだ。イタリア発祥のファシズムについて

 ファシズムには、いかなる精髄もなく、単独の本質さえありません。ファシズムは<ファジー>な全体主義だったのです。ファシズムは一枚岩のイデオロギーではなく、むしろ多様な政治・哲学のコラージュであり、矛盾の集合体でした

  なるほど。このあたり戦前の日本のファシズムと共通しているかもしれない。日本の大政翼賛体制も呉越同舟で、核はなかったという話を読んだことがある。伝統的な右翼はむしろ苛立っていたとか。

 で、エーコは、種々雑多、ファジーであったとしても、「ファシズムの典型的特徴を列挙することは可能だと、わたしは考えています。そして、そうした特徴をそなえたものを、「原ファシズム」もしくは「永遠のファシズム」と呼ぼうと思います」といって、その特徴をあげていく。

 いくつか気になったところを拾っていくと...

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大坂なおみは、日産GT-Rがお好き。「トップ・ギア」は見ていたかな

 大坂なおみが凱旋帰国し、なおみフィーバーが一段と盛り上がり、スポンサー契約も続々と発表されそう。今日は日産のブランドアンバサダーに。日産というところが大和撫子でいいです。こんな場面があったとか...

発表会の司会者から運転したい日産の好きなクルマを聴かれた大坂選手は「白の『GT-R』」ときっぱり。これに対し、星野専務は「GT-Rですか……」と、やや躊躇したものの、「差し上げましょう。ただしモンスターカーなので運転には気をつけてください」と応じた。

日産 星野専務「GT-R差し上げましょう」…大坂なおみ選手がブランドアンバサダーに(レスポンス) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview!

  で、他の記事をみると...

 『リーフ』を贈る設定でステージをつくり込んだのに、まさかの『GT-Rが好き』発言。テニス四大大会、全米オープン覇者は、エコカーよりもスーパーカーに乗って『練習に行きたい』と…。

想定外「GT-Rが好き。速い」大坂なおみ、日産とスポンサー契約 | レスポンス(Response.jp)

  あらあ、マーケティング的には、レオナルド・ディカプリオプリウスに乗って、ハイブリッド車プリウスがエコ意識高い系の必須アイテムになったように、大坂なおみにリーフに乗ってもらって、電気自動車こそ新世代のシンボルにしたかったかのもしれないけど、彼女が選んだのは爆速のGT-Rだった。

 まあ、日産のGT-Rサイトでは、GT−Rをメイド・イン・ジャパンの匠の技の結晶といっているんだから、いい選択かも。

GT-R 匠の技 一人でエンジンを組み上げる「モノ造りの匠」がいる

 https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/gt-r/eco.html#takumi

 GT-R、1000万円以上もする高級スポーツカーだが、海外の自動車好きからも評価が高く、「トップ・ギア」17シーズン(2011年)のエピソード4でも紹介されていた。

  そのなかに、こんな画面があった。ジャガーXKR-Sとのスピード対決。


TOP GEAR-Nissan GTR vs Jaguar XKR.flv

 爆速で、GT-Rジャガーをぶっちぎっていた。2011年のTopGearだから、少々古いけど(いまは、この3人組、Amazonで「グランド・ツアー」をやってる)、人気番組でAmazonプライムビデオでも見ることができるし、大坂なおみも、こうした映像を見ていたかな。ともあれ、爆速のモンスター・マシン。

 で、ふと気がついたのだが、錦織圭ジャガーのブランド・アンバサダーだった。練習場にもジャガーで登場したりしていたし...。そう思って、このTopGearを見ると、なんだか...。日産も、大坂なおみも全く意識していないだろうし、そのはずもないのだが、7年前のTopGearが大坂なおみ錦織圭より先に爆速でグランドスラム優勝を果たすことを予見していたようにも見えて...。車の好みって面白い。

 しかし、デアゴスティーニは絶妙のタイミングで、GT-R分冊百科を始めたなあ。なおみフィーバーの恩恵を受けるグループに入れるだろうか。

GT-R NISMO 創刊号 [分冊百科] (パーツ付) (NISSAN GT-R NISMO)
 

日本、コスタリカに3−0の勝利。中島、南野、堂安はワクワクさせてくれる

 ワールドカップでは決勝トーナメント出場し、ベルギーを相手に接戦を演じるという実績は残したものの、大会直前の監督交代をめぐるゴタゴタなど、なんか日本代表から心が離れ、森保監督の初陣となる、この試合もあまり期待せずに見ていた。コスタリカも世代交代期で、神ともいえるケイラー・ナバスは招集外だったし...。その結果は...

www.tokyo-np.co.jp コスタリカを相手に3−0の勝利。ただ、その結果以上に、心を踊らせてくれたのは中島翔哉、南野、堂安といった若いメンバーの躍動感。

 あのセルジオ越後さんでさえ...

www.soccer-king.jp  ほめてるもんね。最後にぽかっと気が抜けて失点することもなく、完封勝利。コスタリカのメンバーがベストではなかったにしても、久しぶりに「いいね」と言いたくなる試合。

 日本代表のポジション争いは激しくなるなあ。これで、ロシアに出た選手たちも、うかうかとしてはしていられない。久保建英だって、2022年のカタール大会のときは21歳。ロシア大会大活躍の19歳のフランス代表、エムバペよりも年上の年齢になっているわけで、サッカー選手として若過ぎるとはいえない。そのときは、もっとイケてる選手になっているかもしれない。コスタリカ戦、世代交代、下剋上の号砲を鳴らした試合と記憶されるのかなあ。本田さん、カンボジアで監督やっていてくださいって。

 森保監督、協会やスポンサーの意向とか、選手の名前とかじゃなく、忖度抜き、実力で選考する監督であってほしいし、そうであると信じています。ともあれ、これからが楽しみになる試合でした。

 しかし、コスタリカとの一戦ならば、ケイラー・ナバスには来てほしかったなあ。南野、伊東、中島、堂安との勝負が見たかった。ナバスの壁に挑む姿、そして突破するところ、見たかったなあ。

壁を越えろ 走り続ける才能たち

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「新感染 ファイナル・エクスプレス」ーーゾンビ映画プラス「そして父になる」

 遅ればせながら、見ました。

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 評判になった韓国のゾンビ・パニック映画。あまり期待していなかったのだが、想定外の面白さで評判になるのがわかった。ゾンビには、古典的なウロウロ系と、「ワールド・ウォーZ」のようにビュンビュン走ってくる系があるが、この映画のゾンビは後者のビュンビュン系。

 どんどん、ビュンビュン、怒涛のごとく押し寄せてくる。しかも、ソウルから釜山へ向かう閉ざされた高速列車のなかでの物語。

 主人公の親子がなぜ、ソウルから釜山へ向かうかというと、父親は家庭を顧みない自分本位のファンドマネジャーで、妻はひとりソウルの家を出て釜山にいる。娘が誕生日にどうしても母親のところへ行くと言い出し、ソウル・釜山を日帰りしようと朝イチの高速列車に乗り込んだところ、ゾンビに襲われることになる。いくつもの危機を切り抜ける中で、次第に父親としての自覚を持つことになっていく。このあたり、ゾンビ映画であると同時に「そして父になる」という話でもある。

 最初は、韓国のゾンビ映画かあ、と思って、見始めたのだが、面白かった。いわゆるジェットコースター・ムービーで、スピード感のある展開。しかも、先を読ませない。監督のヨン・サンホはアニメ出身で実写映画はこれが初めてというが、映像感覚も斬新で迫力がある。影だけで表現したりするところもアニメの人らしい新鮮な映像。日本でも、マンガ家やアニメ作家で実写映画を撮りたかった人も多かったと思うが、大友克洋とか、全盛期に実写映画を撮っていたら、どんな映像を作り出したのどうか、とも考えてしまう。

 ともあれ、面白い映画でした。ストーリー展開は結構、ハードボイルド。そして、伏線をきちんと回収していく、ちゃんとしたシナリオでした。アメリカあたりでリメイクされそうな気もする。

全米オープン。大坂なおみがグランドスラム日本人初優勝。強かった。セリーナ・ウィリアムズがメルトダウンするほど

 この数年、グランドスラムで日本人が初めて優勝するとしたら、錦織圭ではなくて大坂なおみではないか、と思っていたら...

 全米オープン決勝。大坂なおみセリーナ・ウィリアムズを破って日本人初のグランドスラム優勝。コーチも母親も大坂を迎えて感動の瞬間。

 この試合、第1セットは大坂が6-2。第2セットもセリーナにブレークされるものの、すぐにブレークバック。そして、セリーナ・ウィリアムズは壊れてしまった。グランドスラムでは禁止されているコーチングで1回目の警告、そしてブレークバックで、思ったような試合ができないことで、ブチ切れて、ラケットを壊して2回目の警告。ここで大阪に1ポイント。

 この警告にセリーナは逆上して、審判を罵倒し始める。男子の試合でも見ないような尋常でない罵倒。これはサッカーだったら、イエローカード、野球だったら、退場だなあ。テニスの場合、あとで協会がペナルティを課すのかと思ってみていたら、審判は3回目の警告で1ゲームが大坂に。セリーナ・ファンが圧倒的な地元の観客は審判にブーイングの嵐。異様な雰囲気になったが、感心したのは、この荒れた環境のなかで大坂は冷静に試合を締め、6-4で試合を終える。大坂なおみ、メンタルも強くなったなあ。

 試合後もセリーナは審判を責め続け、性差別とか、言っているらしいが、これは無理がある。コーチングもラケットを壊すのもルール違反で警告の対象になることはわかっているはず。試合中のコーチングはコーチの責任かもしれないが、違反は違反。今日のセリーナの行動、米国のメディアのこんな論評が当たっている。

 She lost to a player who was overpowering her. She couldn’t land her first serve. She ran out of answers. She had a meltdown because she knew she lost.

  彼女(セリーナ)は、自分が負けたと知ってメルトダウンした、と。そのとおりだなあ。大坂に圧倒され、自分の思うようなことが何もできなかった。セリーナは、審判に自分に謝罪しろと迫ったが、謝罪されなければならないのは大坂なおみだなあ。

 それにしても、セリーナ・ウィリアムスほどの選手でも、自分の思うようなプレイをさせてもらえないまま、負けが見えてくると、メンタルに壊れてしまうのだなあ。メンタルまで壊してしまった大坂なおみはすごいと思うと同時に、超一流でさえ、怖割れてしまうことがあるという怖さを知った試合でもあった。

 この全米オープン・ファイナル、セリーナ・ウィリアムスが晩節を汚した試合としても記憶されるのだろうか。

 この審判、ナダルにもタイム・バイオレーションの判定をくだした厳格な人らしい。相手がどんなスーパースターでも萎縮せずに厳格な判定をくだす人だと思うと、性差別と言うのは苦しいと思うのだけど。

女子テニス新時代 大坂なおみSpecial (TJMOOK)

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全米オープン、大坂なおみがキーズをくだし、セリーナ・ウィリアムズとの決勝へ

 大坂なおみは強くなった。

 準決勝はキーズとの対決。以前は第2セット5-1まで行きながら、逆転負けを喫した相手。今回は、そのキーズを6-2、6-4で抑え込んだ。ただ、試合はスコアで見る以上に第2セットはキーズが攻めに攻め、危うい場面があった。しかし、13回のブレイクポイントをしのぎ切り、ついにキーズに流れが行くことを押し留めた。このあたりが強さだなあ。

 試合では、いつも冷静なサーシャ・コーチのほうが不安げだった。ともあれ、大坂なおみセリーナ・ウィリアムズとの決勝へ。錦織は準決勝でジョコビッチと当たるが、こちらはどうなるか。明日の朝にはわかっているのだろう。

女子テニス新時代 大坂なおみSpecial (TJMOOK)

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