梅田氏と田中氏の日米インターネット産業論

 CNET Japan梅田望夫氏が書いた「Google楽天ライブドアを比較することに意味があるか」*1というblogは刺激的だった。Googleなど米国のネット企業がテクノロジーの系譜にあるベンチャーであるのに対して、楽天ライブドアなど日本のネット企業はサービス業(流通業)の流れの中にある。「りんごとオレンジ」*2のように異質の系譜にあるというもの。日米の企業風土論でもある。
 梅田氏のCNET blogに触発されて、楽天GREEの田中良和氏が自分のblog*3で「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」*4という論考を書いていた。

よく、多くの人に、楽天って(技術的に)あんまり目立ったところないよね、とか、(それに比べ)Googleやっぱすごいとか、言われたり、逆に、(ベンチャーとして)楽天は相当凄い、と言われたり、そういうことを日々目にするのですが、この多くの人の感覚は、つまり何に興味があるのか、つまり、「何を凄いと思っているのか」、という個々人の感覚によって感想が違う、という話なのですが、上記の話と通じる部分が、大きいなあと、あらためて感じました。
#あえて、フォローしておくと(笑)、楽天市場という複雑なECシステムかつ巨大なマーケットプレイスのシステムをスピード感を持って作り、それをミッションクリティカルに運営するのは相当に(本当に)大変で、その技術的優位は大きいと思います。

という具合に、まさに現場からの視点で、議論を展開していて面白い。

現時点で言えば、Googleも今の検索テクノロジーが陳腐化すれば、システム化されつつも結局は単なるリスティング広告代理店というサービス産業化していくわけで、その先進性と技術的要素が「今は」強いだけともいえるかも知れません。
しかし逆に言えば、Y!やAmazonebayは、ほぼテクノロジー産業的部分よりサービス産業的部分で競争優位を積み重ねていくように変態していったのに、競争優位の土台をテクノロジーに持ち続けているのは、かなり珍しいというか、考え方の土台が「凄いテクノロジーをどうやって生み出せるのか、それを金にしていくか」という部分にあり、Google Newsしかり、Froogleしかり、プロダクトアウトというか技術へのこだわりに結局ある気がします。
そして、各サービスの端々感じられる「テクノロジーがもたらすものへの信仰」が全体をパッケージングしていると。
究極的には、そのテクノロジーセントリックなカルチャーそのものが、Googleがテクノロジー産業であり続けるポイントかもしれませんね。

というところなど、なるほど、なるほどと思う。どちらのコラムもネット産業を考える上での参考になる。

*1:http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001675.html

*2:IT産業的には「りんごとオレンジ」よりも「アップルとみかん」のほうがいいかとか、ちょっと洒落てみたくなるが…

*3:http://www.tanakayoshikazu.com/

*4:http://www.tanakayoshikazu.com/archives/000076.html