景気よりも治安が悪い日本

日本で一番悪化しているのは「景気」ではなく、「治安」――。内閣府が9日付で公表した「社会意識に関する世論調査」から、こんな世相が浮かび上がった。「悪い方向に向かっている分野」(複数回答)を聞いたところ「治安」が47.9%で最も多く、同じ質問を始めた98年以降毎回トップだった「景気」を初めて抜いた。刑法犯の認知件数は02年をピークに減る傾向だが、肌で感ずる「体感治安」は悪化の一途をたどっている。

 個人格差・企業格差はきついけど、景気全般で言えば、底を打った感じはある。一方で、治安は統計的には改善されたとしても、犯罪まで行かないギスギスした雰囲気が社会に広がっているから、「体感治安」が悪化しているというのはわかる気がする。通勤の途中で、つかみ合いのけんかに近い口論を見ることが最近、多くなった。深夜の電車で酔っぱらいの口論はあったけど、朝、しらふの状態の人たちがケンカしているのを見ると、やっぱり、会社や仕事のストレスなんだろうな、と思うことがある。やっぱり、景気より治安だなあ。「社会不安」という意味での治安かもしれないけど。