大塚英志「キャラクター小説の作り方」

キャラクター小説の作り方

キャラクター小説の作り方

 キャラクター小説のハウツーなのだが、文学論でもあり、社会論でもあり、刺激的だった。あとがきに、以下のような一節がある。

ぼくは、キャラクター小説化のノウハウを語りながら、同時に近代文学史を一度リセットしてやり直してしまえ、と主張しているのです。それは明治後半のこの国の「文学」が言文一致体や写生文や自然主義を必要としたように、ぼくがキャラクター小説としか今のところ名付けようのない形式の中に新しい現実に対応する小説の作法がある気がするからでもあります。

−−読み通してみると、そうした著者の主張はよく理解できる。で、そうした文学論を別にしても、ハウツー本としても、よくできていて、「破綻のないおはなし」の作り方として、カードの利用を説いているところは実践的で、わかりやすい。まずはB6のカード(京大型カード)を用意して、そこに400〜800時のプロットを書いていくというのは、なるほど、と思う。ハリウッドの脚本の書き方ノウハウにも同じような話があった。やっぱり、カードなんだなあ。