宮部みゆき「理由」

理由 (朝日文庫)

理由 (朝日文庫)

 面白かった。ストーリーも面白いし、事件に関係した人々のインタビューでモザイクのように描き出していく手法も面白かった。家族を描くと同時に、80年代バブルから、崩壊後の90年代にかけてのクロニクルといった感じがした。ルポルタージュよりも、歴史書よりも、この小説のほうが、あの時代の空気と現実を伝えてくれる。この小説を読んでいると、手法的には大塚英志氏のいうキャラクター小説の手法で文学を書く、というのは、こういう方法なのかと思った。