マルジャン・サラトピ「ペルセポリス」II

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

 第1巻「イランの少女マルジ」はイラン革命からスイスに留学するまでだったが、第2巻「マルジ、故郷に帰る」はスイス留学中の恋愛、失恋、失意の帰国、回復、大学、さらに結婚、離婚、そして再び、イランを去るまで。コミックなのだが、グラフィック小説というように物語は豊か。日本にいると、国を捨てるということは実感として分からないのだが、この物語を読んでいると、国を捨てざるを得ない哀しみが伝わってくる。愛するが故に、子供を海外に手放す。親を国に残して去っていく気持ちが伝わってくる。いろいろと言っても、日本は幸せなのだなあ。少なくとも、ドアをノックする音に怯えたり、街で突然、連れ去れることもないし。しかし、深刻な話もユーモアを交えて語る。それがかえって心に響く。