野中郁次郎「アメリカ海兵隊−−非営利型組織の自己革新」

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

 海兵隊は陸海空軍の狭間で存在意義を問われながら、常に自己革新を続け、陸海空が一体化したグローバルな有事即応部隊へと進化していった。その歴史を追いながら、自己革新型組織のあり方を探る。結局、生き残るために自己革新せざるを得ない環境にあることが組織を強くしていくのだろうか。まあ、自己変革できなければ、滅亡してしまうわけだから。ただ、第2次世界大戦におけるガダルカナルから沖縄に至る上陸作戦の歴史を読むと、海兵隊が「学習する組織」であったことがわかる。常に、Plan, Do, Checkを繰り返し、作戦を進化させている。「戦艦大和」で読んだ日本海軍の精神主義的な訓練に比較して、米国らしいプラグマティズムを感じる。経済戦争のほうも、一時は日本企業が勝ったようにみえながら、「学習する組織」化した米国企業にやられてしまった。