ボブ・ウッドワード「ディープ・スロート 大統領を葬った男」

ディープ・スロート 大統領を葬った男

ディープ・スロート 大統領を葬った男

大統領の陰謀―ニクソンを追いつめた300日 (文春文庫) 大統領の陰謀 [DVD] ウォーターゲート事件報道でキーポイントになった謎の情報源、ディープスロートの正体が、FBI副長官だったマーク・フェルトであることが明らかになったが、ボブ・ウッドワード自身がその経緯と後日談を書いた。情報源の秘匿こそ報道にとって、いかに重要な原則であるかを改めて感じる。また、30年近くにわたって秘密を堅持しことが、ジャーナリズムの信用の象徴になったと思う。一方、なぜ、フェルトがここまで情報をリークしたかという謎は、ホワイトハウスとFBIの権力抗争という点から理解できるといえば、理解できるのだが、本当の心の奥底はわからない。フェルト本人が認知症になった今、それは永遠の秘密になってしまった。「大統領の陰謀」「最後の日々」、そして、この本はウォーターゲート報道3部作といえるのかもしれない。カール・バーンスタインも一文を寄せている。いまだに、ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタイン、そしてベン・ブラッドリーは連帯感を持っているようにみえる。あの厳しい時代を一緒に生きたからか。ウォーターゲートは映画「大統領の陰謀」(ロバート・レッドフォードダスティン・ホフマン、ジェイソン・ロバーツ)もあって、調査報道、そして情報源秘匿など、ジャーナリズムの神話となっていく感じがする。ジャーナリズムが一番、美しかった時代だろう。