米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

 大宅壮一ノンフィクション賞の受賞作として知ってはいた本なのだが、読み始めると・・・、面白い!一気に読んでしまった。まさに事実は小説よりも奇なり。1960年代にプラハソビエト学校(アメリカン・スクールのソ連版みたいな感じ)で同級生だったギリシャ人、ルーマニア人(ユダヤ人)、ユーゴスラビア人(ムスリム)の少女たちのその後。ソ連・東欧の共産圏の崩壊に加え、ルーマニアユーゴスラビアはさらに凄惨な時代を迎える。ソビエト学校自体が共産党エリートの学校だけに、それなりに恵まれた層とも言える。というか、高等教育を受けていることは強みではあるんだなあ。しかし、人生、何が幸福で、何が不幸か。虚飾は、共産主義でも、資本主義でも変わらないともいえる。誠実に生きることは美しいけど、大変なことでもあるとか、いろいろと考えさせられる。