サイモン・シン「フェルマーの最終定理」

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 数学の劣等生である自分が読んでも面白い本。フェルマーの最終定理をめぐる数学者たち、その人間の物語だからだなあ。数学は最も厳密さを要求する学問だが、その精緻な世界で真理を厳格に追求する人にとっては現実の非合理な世界は、生きにくい世の中なんだろうなあ。非業の死をとげる歴史上の数学者も少なくない。20歳で決闘に散ったガロアなど、その典型例かもしれない。ともあれ、ピュタゴラスから、フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズに至るまで、数学者たちの物語はどれも面白い。「谷山=志村予想」と谷山の悲劇など、日本人も登場する。