井田真木子「プロレス少女伝説」

プロレス少女伝説 (文春文庫)

プロレス少女伝説 (文春文庫)

 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した井田真木子女子プロレスルポルタージュ女子プロレスの話という以上に、中国未帰還者三世の天田麗文(孫麗�=スン・リーウエン)、米国から日本の女子プロレスに来たデブラ・アン・メデューサ・ミッシェリー、柔道出身の神取しのぶという3人の人間の物語とも言える。3人はアウトサイダーであり、そのアウトサイダーを通じて女子プロレスの世界を描いていく。この3人に加えて、スタープレイヤー、長与千種女子プロレスの象徴として、また体制内改革者として配置される。ともあれ、3人がそれぞれ真摯に生きる姿に感動し、そして、どこか切ないなあ。
 この本が出版された1990年。その後、3人はどうなったのか。
【天田麗文】
 天田は全日本女子プロレスを辞めた後、FMW女子プロレスラーに復帰するところで、この本は終わる。今はFMWを引退している様子。以下のサイトに、引退式の模様がレポートされている。
 http://asikapon.hp.infoseek.co.jp/amada.htm
【デボラ・ミッシェリー】
 幼児期に母親に虐待されるなど崩壊された家庭に育ち、少女時代から独立独歩で生きてきたデボラ・ミッシェリーはその後も強く生き、米国に戻り、女子プロレスで成功した様子。ウィキペディアでは「デボラ・ミセリー」という表記で紹介されている。この本で紹介された子供自体のことは米国の「Wikipedia」でも紹介されていない。この本の最後では家族の再生に希望を持たせているが、その後も家族との関係が修復され、それとともに歴史から消すことにしたのか。わからない。いずれにせよ、日本でひとりで生きることを選択した強い人だけに、その後もたくましく生き抜いている様子。
公式サイト(こちらでは、リングネームの「メドゥーサ」を今でも使っている)
 http://www.madusa.com/
ウィキペディアで「デボラ・ミセリー」は
 wikipedia:デボラ・ミセリー
Wikipediaで「Debra Miceli」は
 http://en.wikipedia.org/wiki/Debra_Miceli
【神取しのぶ】
 この本では破滅型の人に見えたのだが、言葉通りに今もプロレスラーを続け、しかも、2006年からは参議院議員竹中平蔵氏の議員辞職で昇格したのは、この人だった。いまは「神取忍」。一番、変化率が激しい人かもしれない。自主独立の人だったけど、こちらも生き抜く「強さ」を持っていたんだなあ。
公式サイト
 http://www.kandorishinobu.net/
ウィキペディアで「神取忍」は
 wikipedia:神取忍