黒田記念館 「湖畔vs湖畔」

このたび東京文化財研究所主催の国際研究集会「“オリジナル”の行方―文化財アーカイブ構築のために」(2008年12月6?8日)の関連企画として、福田美蘭氏による《湖畔》を展示します。 気鋭の現代美術家である福田美蘭氏は古今東西の美術品を素材に作品を制作、その“オリジナル”イメージを揺さぶる活動で知られています。今回展示する《湖畔》は、明治の洋画家、黒田清輝の代表作《湖畔》をアレンジしたもので、この作品を通して福田氏は見なれた名画のイメージを一度くつがえし、再度新たなまなざしで原画に接することをうながしています。廊下をはさんで、向かいあうように飾られた黒田清輝の“オリジナル”とのコラボレーションをお楽しみいただければ幸いです。

 上野公園から東京芸術大学大学美術館に行こうかと思って歩いていたら、偶然、黒田記念館の前に出る。これが入場は無料だが、開館は木曜、土曜だけで、時間も13時から16時という変わったところ。で、入ってみた。名前の通り、黒田清輝の記念館だが、これが良かった。有名な「湖畔」をはじめ、黒田の絵画を展示されている。また、赤外線など最新技術をつかった制作過程の分析も展示されているのも面白い。ちょうど「湖畔vs湖畔」という企画展をやっていて、これも刺激的だった。廊下に立つと、左右の展示室に、黒田の「湖畔」と、それにインスパイアされた福田美蘭の「湖畔」の両方を見ることができる趣向になっている。小さな施設だが、無料では申し訳ないようなところで、結構、楽しめた。「湖畔」のモデルは誰かと思っていたのだが、黒田清輝夫人だとは知らなかった。美人だったんだなあ。