田中一村記念美術館

 奄美大島にある田中一村の作品を集めた美術館。田中一村は・・・

明治41年(1908)、栃木県に生まれました。18歳のときには、東京美術学校(現在の東京芸術大学日本画科に入学するなど、将来を嘱望されながらも、病気や生活苦の中で中央画壇とは一線を画し、清貧の中で画業に励みました。 昭和33年、50歳の時に南の島々の自然に魅せられ、奄美大島に移り住み、大島紬の工場などで働きながら、衣食住を切り詰め、不遇とも言える生活の中で奄美を描き続け、昭和52年(1977)、69歳でその生涯を終えました。

 東京美術学校では、日本画科で東山魁夷と同期だという。天才と一緒だった不幸か(ウィキペディアによると、田中も南画の神童といわれていたらしいが、大学に行くと、世界レベルの天才と遭遇してしまうんだな)。東山魁夷は在学中に帝展に入選し、卒業後はドイツに留学している。田中は病気のために美学校を中退しているが、焦っただろうな。田中一村は50歳に奄美大島に移住し、そこで没した。
 「日本のゴーギャン」といわれることもあるらしいが、作品を見ていると、奄美大島以前の絵にはあまり感じるところがない。千葉時代、九州・四国・紀州の旅などあるが、良く出来た日本画というところ。しかし、「常設展示室3」にある60年代、70年代となると、目を惹く作品が出てくる。個人的には「枇榔樹の森に褄紅蝶(ビロウとブーゲンビレア)」「枇榔樹の森にて(ビロウとコンロンカ)」「枇榔と赤翡翠(ビロウとアカショウビン)」「アダンの海辺(アダンの木)」「不喰芋と蘇鉄(クワズイモとソテツ)」がお気に入りだった。絵としては、ゴーギャンというより、アンリ・ルソーを思わせるものがある。奄美大島では、大島紬の染色工として生計を立てていたらしいが、何よりも奄美大島の風景に出会うことで才能を開花させたんだろうなあ。
田中一村作品集 日本のゴーギャン 田中一村伝 (小学館文庫) 田中一村作品集―NHK日曜美術館「黒潮の画譜」