ローズ

 ベット・ミドラーが、ジャニス・ジョプリンをモデルにした女性ロック・シンガーを演じる。ミドラーというと、コメディエンヌのイメージが強いが、この映画はシリアスで、渾身の演技。1979年のデビュー作ともいえる映画だけに、ミドラーもスリムで、いまとは雰囲気が違う。ステージで数々のロックの名曲を絶唱する場面は迫力があるが、物語自体は切なく哀しい。愛されることを求め続けながら、愛を失うのが怖くて自ら壊してしまう。酒と薬に溺れ、自滅していく。エンディングのタイトルロールで流れる主題歌「ローズ」が美しく、この映画のすべてを象徴している。ミドラーのバラードというと、「愛は翼にのって」(Wind Beneath My Wings)が最大のヒット曲だろうけど、「ローズ」のほうが好きだ。
「The Rose」の予告編