政治家の方々が読んでいてくれたら、うれしい3冊

 参議院選挙は民主党の惨敗に終わり、また「政局」「政局」と「お祭り騒ぎ」になりそうな気配だが、やって欲しいのは「政局」ではなく「政治」。というわけで、政治家の方々が読んでいてくれたら、うれしい3冊を選んでみると。
 まずはこれ。

職業としての政治 (岩波文庫)

職業としての政治 (岩波文庫)

 古典です。「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である」という言葉は有名。そして、政治家の条件。「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が--自分の立場からみて--どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自身のある人間。そういう人間だけが政治への「天職」を持つ。」これまた有名な一句。最近、新訳も出ている。
職業としての政治/職業としての学問 (日経BPクラシックス)
 で、2冊目は、これ。
敗戦真相記―予告されていた平成日本の没落

敗戦真相記―予告されていた平成日本の没落

 敗戦直後、昭和20年(1945年)9月、広島での講演録。ここで描かれた太平洋戦争に至る日本は哀しいほど今の日本と似ている。社会構造のDNAは変わらないのだな、と思う。そこを変えていくのが政治なのだが。この本の中に「軍閥は解体したが、官僚は残った」とし、官僚の特権打破を戦後日本の大きな課題としている。それから65年がたつのに、いまも官僚問題は政治のテーマ。ここはもう一度、この本を読んで日本再生への思いを新たにしたいところ。
 最後は、これ。 日本再生は、日本経済の再生があってこそ。政局ではなくて、政策を考えたとき、どのような経済思想で行くかが問題となる。ケインズは、危機の経済学で、経済が異常事態に陥った時の緊急対策であるが、経済が成長軌道に乗るためには、シュンペーターがいうように、イノベーションが不可欠となる。本当は原典を読まなきゃいけないのだろうが、忙しい人に最適なのは、この本。ふたりの経済思想を知ることは、これからの経済運営を考える上での座標軸になる。
 政治家の人たちは読んでいるだろうか。次の選挙ではなくて、次の世代を考えて欲しい。政局ではなくて、政策に燃えて欲しい。