「アーティストの言葉」
- 出版社/メーカー: ピエブックス
- 発売日: 2009/11/01
- メディア: 単行本
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動植物のすがたを知り尽くすことにより、その「神」に会うことができる。そうして初めて(絵筆を持つ)手が動くのである。
伊藤若冲
若冲も「神は細部に宿る」と考えていたのか。ヨーロッパの画家たちが精細な絵を描くことは神を描くことと考えていたのに通じるものがある。若冲はやはり面白い。
世界に「意味を与える」ために人はファインダーの向こう側に、関係している自分自身を感じなければならない。そのためには、集中力、心の鍛錬、繊細さ、そして幾何学的なセンスが求められる。
アンリ・カルティエ=ブレッソン
これも「決定的瞬間」をカメラに収めたカルティエ=ブレッソンならではの言葉。写真の極意がこの言葉に集約されている。
肝心なのは見る観点だ。どんな物をも、一個の古靴でさえも、彫刻となるものは、その見方と置き方なのである。
イサム・ノグチ
これまた含蓄のある言葉。アートとは「見る観点」だ。
芸術家は、自分が見たいと願うものを見る。それは想像上の光景に違いない。だが、その偽りこそが芸術を創造するのだ。
エドガー・ドガ
これまた深い言葉。「偽りこそが芸術を創造する」。うーん、アートの真髄。
画家の描きたいと欲する心が備わっているかどうかが問題で、その気持ちがなければ筆はのらず、よい絵にはならない。ただ見た目が美しいだけの絵は価値がない。そんな絵は死んでいるのと同然だ。
尾形光琳
光琳も厳しい言葉を吐いていたのだなあ。確かに、ただ美しいだけでは風雪に耐えることはできないし、心にも響かない。最後は魂の問題というのは古来変わらない。
芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、見えるようにすることにある。
パウル・クレー
そのまま再現するのではなく、見えるようにすること---。これまたアートの本質。その発言の主がパウル・クレーというところがまたいい。
現代的な芸術など存在しない。あるのはただひとつ永遠に続く芸術のみである。
エゴン・シーレ
シーレがこんなことを言っていたのか。これまた核心を突いた言葉。
芸術とはコミュニケイトしたいという人間の欲求だ。
エドヴァルド・ムンク
素晴らしい。それがムンクの言葉であることがまた心を打つ。
ともあれ、どのページを開いても、美しい図版と深イイ言葉を楽しめる本。