千田善『オシムの伝言』

オシムの伝言

オシムの伝言

 日本代表監督時代のオシムの通訳だった千田善氏のみたオシムの記録。日本代表監督就任から病に倒れ、離日するまで、オシムの言葉と日本に残した「痕跡」を伝える。岡田監督のジャパンもワールドカップで頑張ったが、やはりオシム監督のジャパンを見てみたかった。で、印象に残ったオシムの言葉をひとつ。

 敗北から学ぶ、負けて初めて前進できることがある。.......なぜ失点したのか、考えるべきだ。その場面で選手ひとりひとりが、自分がどこにいて、何をしていたか、思い出すべきだ。それはミスを繰り返さないためだ。......その点が日本のサッカーがもう1ランク、ステップアップするカギになる。ミスを犯したときの責任の所在をはっきりとさせることだ。(2009年8月)

 敗北を直視することは日本人が一番、苦手なことかもしれない。1945年の敗戦のあともそうだったし、バブル崩壊・金融敗戦でもそうだった。そこで、今に至る「失われた20年」から抜け出せない。敗因と責任を直視することはサッカーだけの問題ではないかも(「追及」ではなく「直視」)。