日垣隆『売文生活』

売文生活 (ちくま新書)

売文生活 (ちくま新書)

 「職業としてのライター」というか「職業としての作家」というか、作家とオカネの話。日垣氏本人はもちろん、夏目漱石筒井康隆立花隆らを取り上げ、原稿料、印税、講演料など作家とオカネについて語る。目次で内容をみると...

 序 章 私的売文生活入門
 第1章 原稿料とは何か
 第2章 幸せな黄金時代
 第3章 標準としての夏目漱石
 第4章 トップランナーたちの憂鬱
 第5章 貧乏自慢もほどほどに
 第6章 現代日本の原稿料事情
 終 章 お金も自由も

 作家、特にノンフィクション・ライターになると、「お金か自由か」という話が出がちだが、これは設問自体に誤りがあり、「お金も自由も」ではないかという。これは読み進んでいくと、納得。
 この本を読んでいて改めて気づいたが、朝日新聞の社員になった夏目漱石を代表に、明治の文豪・作家は専業はあまりいず、新聞社・出版社・大学に身を置くことが多かった。まだマーケットがでてきなかったのだなあ。と同時に、この当時の新聞・雑誌は結構、儲かるビジネスでもあったのだなあ。
 ちなみに、日垣氏には「売文」シリーズとでもいうべき、以下のような本があった。こちらも読んでみようか。
どっからでもかかって来い!―売文生活日記 すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)