湖のほとりで

湖のほとりで [DVD]

湖のほとりで [DVD]

 湖のほとりで美少女の死体が発見されるところから始まるイタリア映画。捜査を通じて、それぞれの家庭の事情が描き出される。イタリアで映画賞を総なめにしたという静謐な映画。
 原作はノルウェーのミステリー作家、カリン・フォッスムの『見知らぬ男の視線』。事件の背景となる湖と森の村といった道具立て、そして、刑事自身を含めて、それぞれの家族が抱える問題など、このあたりの語り口はイタリアというよりも、むしろ原作である北欧系の推理小説の香りを濃厚に感じさせた。少女を溺愛する父親、被害者の父親から無視されている異父姉、少女がベビーシッターに行っていた障害児を持った家庭、湖の近くに住む知的障害を持った男とその父、少女の本当のことは何も知らなかった恋人、刑事の病妻と一人娘との関係など、「マルティン・ベック」シリーズや「ミレニアム」シリーズなど北欧の社会派ミステリーに出てくる人間像を思わせるものがある。おまけに少女はアイスホッケーの選手だった。
 犯人が誰かよりも、人間と家族を描くことに主眼を置いた映画といっていい。
オフィシャルサイト
 http://www.alcine-terran.com/lake/