国立国際美術館(大阪)

 アルゼンチンの建築家、シーザー・ペリ設計のユニークなデザインの美術館。地下1階から2階、3階の展示室に降りていく吹き抜けが美しい。ただ、日本的な効率性優先の要請からか、エレベーターで地下に直線的に降りていくのだが、本当はスロープを歩いて降りていくような設計にしたかったのではあるまいか。そのほうが芸術の鑑賞に適していると思うが、人を大量に流すため、あるいは高齢者への配慮からエレベーターになったのかな、と思ってしまった。
 「マン・レイ展」のついでに「コレクション2 近年の収蔵品を中心に」を見る。

過去数年内に収蔵した作品で、まだ一度も公開していない作品をまとめて紹介することを第一の目的としたコレクション展です。約200点の作品をジャンル別に展覧しますが、そのうちの約150点が初公開となります。

 ということで、現代アートが中心だったが、現代アートというのは難しい。どうもアタマで「アートしての受け」を狙った一発勝負ネタみたいな作品が目立つ。「受け」を狙うための「意図」「作戦」はわかるのだが、「で...」という感じがしてしまう。人の神経を逆なでするような表現も「作戦」に見えてしまう。自分が何を表現したいかよりも、どう自分が評価されたいか、目立ちたいかが先行してしまっていて、あざとい感じがしてしまう。突き詰めると、アタマが先行し、ハートがない印象を受ける。
 現代アートがどれも、そうというわけではなく、この美術館の「コレクション2」の作品群の印象(東京都現代美術館でも、ポンピドゥーセンターでも、上海美術館でも、現代アートの良いもの、面白いものはいろいろある)。国立国際美術館では、コレクションよりも建物そのものの方がアートだと思った。