APEC閉幕。「横浜ビジョン」? また言葉が遊ぶ?

横浜市で開かれていたアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議は14日、貿易や投資、物流の障壁のない「共同体」として経済統合を目指す首脳宣言「横浜ビジョン」を採択し、閉幕した。15年ぶりに日本が開催国となり、今年1年間を通して全国各地で開かれてきた一連のAPEC関連会合がこれで終了した。菅直人首相は、日本の環太平洋連携協定(TPP)協議開始の表明をテコに、議長国としてAPECを経済統合へ向け前進させるとともに、域内の成長戦略を初めて策定。外交の成果をアピールする考えだ。

 APECが閉幕。ソウルで開かれたG20に比べると、海外メディアの報道も今ひとつという感じだが、国際的な評価はどうなんだろう。ニューヨーク・タイムズも、FTも、ウェブ版のトップページには何の話もない。ウォールストリート・ジャーナルのトップページに出ているのは、こんな話。

Japanese prime minister Naoto Kan signaled to U.S. president Barack Obama his government's strong desire to deepen the bilateral security alliance, admitting that recent territorial scuffles with China and Russia have made Japan reaffirm the importance of U.S. military presence in the nation.

 菅政権は、中国やロシアとの領土問題もあって、米国の軍事的支援を強く期待しているみたいなことね。「七人の侍」のお百姓さんのように、何かあると「おサムライさん」と頼ってしまう(まあ「七人の侍」では農民も自ら戦うわけだけど)。海外メディアが伝えるのは、そうした日本なのか。
 「横浜ビジョン」かあ。何だか言葉だけ踊るような...。ご当地ソングじゃあるまいし、地名をつければいいというもんじゃないけど。ご当地の名前がついた国際会議の結果でも、地球温暖化対策の「京都議定書」みたいな重みは「横浜ビジョン」にはなさそうだなあ。
 菅首相は、海外の首脳と会った映像をメディアに撮ってもらって、トップニュースを飾る宣言を出してしまえば、それで一丁上がり!と考えているかのようで、何となく政権維持のための情宣活動みたいな...。TPP締結のために、国内農業をどう支援し、構造改革をどう進めるのか、とか地道なことはやるんだろうか。どうも地道なことは嫌いな政権みたいに見えてしまう。偏見だろうか。自民党政権末期から、どうも首相になることが目的の人が首相になり、政権維持だけが与党の目的化してしまったような感じがする。
【追記】
 菅首相、農業問題については認識しているようで、APEC閉幕後の記者会見でも、農業改革と開国の両立について言及していた。で、その会見で...

農業改革を巡っては「改革には色々な痛みを伴うが、まずは具体的な作業を始めたい」と指摘。「農業構造改革推進本部を早急に立ち上げられるよう鹿野道彦農相と玄葉光一郎国家戦略相に指示した」とも述べた。

 「指示」だけで終わらなければいいけど...。