風と共に去りぬ

風と共に去りぬ [DVD]

風と共に去りぬ [DVD]

 アメリカ映画の古典中の古典。昨晩、NHK-BShiで放映していた。見ていると、なぜ、この映画が戦後の日本で受けたか、わかる。南北戦争によって破壊され尽くした南部は第二次大戦によって灰燼に帰した日本を思い起こさせる。アトランタ炎上のなかを逃げ惑うスカーレットは東京大空襲の被災者を連想させたのだろう。北軍は南部都市の焦土作戦をとったわけで、このあたりは米軍の無差別爆撃の思想が既に南北戦争の頃からあったということかもしれない。戦争の早期終結のために手段を選ばない。南北戦争後、なりふり構わず生き抜くスカーレットも、戦前の美しい思い出から抜け出せず、戦後の現実から目を背けるアシュリーも、戦争の記憶を持つ日本人には自分であり、隣人の姿だったのだろう。
 この映画ができたのは、1939年。敗者の側からの米国史が大ヒットしたのは、スカーレットとレット・バトラーのスペクタクルなメロドロマということもあるだろうが、大恐慌の時代だったからだろうなあ。1920年代のバブルが崩壊し、豊かな生活は失われ、欧州で戦争の足音が聞えてきた時代。スカーレットのように、どんなに悲惨な環境にあっても、「Tomorrow is another day」という希望を抱かないと生きていけない時代だったのだろうなあ。米国人も、世界中の人たちも、自分を重ねあせて見ていたのかも。
 しかし、それにしても、クラーク・ゲーブルのレット・バトラーはダンディでカッコいい。ビビアン・リーも美しい。古い映画だが、ドラマがしっかりとしているので、結構、見てしまった。