J2降格のFC東京、「移籍したら裏切り者」?――美しい話? ムラ社会的な陰湿な話?

来季からJ2に降格するFC東京の選手間で「移籍禁止」の連絡網が回っていることが8日、わかった。関係者によると、「おまえ、移籍したら裏切り者だからな!」と1年でのJ1復帰へ結束を固めているという。

 これは美談として書かれた記事なのだろうか。チームが厳しい状態にあることは確かで、移籍話があっても断って、残って戦うことは美しいが、それを他人まで強要することは醜悪な話のように思える。この手のことは個人ひとりひとりがどう生きるかという問題ではないんだろうか。ひとりになっても戦うという姿は素晴らしく美しいと思う。残らない奴は裏切り者と決め付けるのはいかにも心が狭い。仲間に移籍話があったら、その人の将来を考えてあげるべきじゃないんだろうか。「残ってくれたら、うれしいけど、自分の将来は自分で決めればいいよ。どんな結論になっても俺は支持する」と言ってあげるのが本当のチームメイトみたいな気がするけど...。
 何だかムラ社会モード全開みたいな話だと思うんだけど、記者もチームの関係者もこれが美しいと思い、読者もそう思うんだろうか。しかし、恫喝で強いチームができるんだろうか。FC東京にはぜひ早くJ1に戻って欲しいから、なおさら心配になる。まあ、メディアが伝聞で書いている記事みたいな感じもするから、杞憂かもしれないけど。仲間にレアル・マドリードバルセロナから誘いがあっても、移籍したら「裏切り者」扱いなんだろうか。サッカー選手人生では、チャンスを活かすことが大切だと思うけど。FC東京の選手たちは心の奥では、シーズン途中で移籍した長友佑都のことを恨んでいるんだろうか。
感情暴走社会-「心のムラ」と上手につきあう (祥伝社新書120) タテ社会の力学 (講談社学術文庫) 「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来