「サイコ」

定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー サイコ・シャワー (リュミエール叢書) アルフレッド・ヒッチコックの映像芸術の最高峰「サイコ」をNHK-BS2で放映していた。何度見ても、この映画はすごい。カルトな映画。シャワーでの殺人場面はサスペンスの教科書であり、芸術の域に達している。この映画に関する本も多い。第一級資料はやはりフランス映画の名匠、フランソワ・トリュフォーヒッチコックにインタビューした『映画術 ヒッチコックトリュフォー』。この本は見開き2ページにわたり、シャワーの場面のコマ割り写真を掲載している。それを見ているだけでモンタージュの見事さがわかる。一方、出演者の本では、ジャネット・リーの「サイコ・シャワー」がある。こちらも面白い。
 この映画の予告編も伝説的。YouTubeを探したら、あった。ヒッチコック好きな人がいるんだな。惨劇の舞台となるベイツ・モーテルをヒッチコックがたんたんと案内していく。そして...

 こちらは伝説では知っていたが、実物を見るのは、このYouTubeが初めてだった。しかし、予告編も含めて、こうした実験精神に満ちた映画が1960年につくられていたのは驚き。50年前の映画だもんなあ。この年のアカデミー作品賞はビリー・ワイルダーの最高傑作「アパートの鍵貸します」。相手が悪かったといえるが、それでも、監督賞、助演女優賞ジャネット・リー)、撮影賞、美術監督・装置賞にノミネートされている。ひとつも受賞しなかったけど...。音楽、音響、編集でノミネートされていないのも不思議。ともあれ、早すぎた映画だった。こんなアートな作品を商業映画としてつくったところがまたすごいけど。
 この年は「アラモ」とか「栄光への脱出」とかもあった。結局、50年の歳月を超える映像だったのは「サイコ」だったなあ。結局は歴史が評価するものなのかもしれない。
★1960年のアカデミー賞受賞・ノミネート一覧
 http://www.allcinema.net/prog/awardmain.php?num_a=33
【やぶしらず通信・関連ログ】
「サイコ・シャワー」を読んで => http://t.co/ryaRSxH