「征爾とユンディ The Young Romantic」

小澤征爾と中国の若きピアニスト、ユンディ・リが、ベルリンで難曲プロコフィエフの協奏曲に挑む。ユンディは史上最年少でショパン・コンクール優勝、かつて東洋からヨーロッパに乗り込んで指揮者コンクールで優勝した小澤を思い出させる。同じ中国生まれでもある。プロコフィエフが21歳で作曲した高い技巧を要する曲をすごい速さで弾こうとするユンディに、小澤も「若返るぞ」と意気込む。そして、ユンディにプレッシャーが…。

 昨晩、NHK-BShiで放映していたドキュメンタリー。2008年に放映されたものの再放映らしい。ユンディ・リは久しぶりに見たが、ふっくらとしていて、ずいぶん丸くなった感じした。ただ、その行動は中国にクラシックを広める若き志士といった感じで、ポップグループとの共演ライブなど、積極的な音楽活動を繰り広げていた。メーンのテーマであるベルリン・フィルとの共演で見せる小澤征爾とのリハーサル風景は刺激的。小沢は史上最速のプロコフィエフといっていたが、その技巧とエネルギーは若さだなあ。
 ユンディ・リを追うことは、中国の急成長と、それに伴う社会の変化を追うことにもなる。祖父母、父母とのインタビューや過去の映像からも、それがうかがえる。音楽的にも、社会的にも刺激的なドキュメンタリー。音楽に対する真摯な姿勢を見ていて、改めてユンディ・リのファンになってしまった。

ラヴェル:ピアノ協奏曲

ラヴェル:ピアノ協奏曲