計画停電、5グループ25区域に。東京都区部は足立、荒川だけ。吉祥寺から阿佐ヶ谷に時代は移る。TDL死して、としまえん栄える?

東京電力は25日、地域ごとに順番で電力供給を止める計画停電輪番停電)について、現在5グループに区切っている対象地域をそれぞれさらに5分割し、計25区域に細分化した新たなグループ分けを発表した。26日をめどに運用を始める。停電実施地域を細分化し、できるだけ正確に示すことで、利用者の混乱を少なくする狙いだ。(略)26日からのグループ分けは、第1-第5グループ内をそれぞれA-Eに細分化。25日午前の東電の発表によると、東京23区で対象に含まれているのは足立、荒川の両区。同社は「1回の停電時間は3時間程度を継続するなど細分化以外に変更点はない」としている。

 計画停電を5グループから5グループ25区域制に分けたところで、自分の区域を探す煩雑さと計画停電の不確実性は変わらない。例えば、千葉県の松戸市市川市船橋市は第2グループと第5グループに入っているが、これが第2グループCと第5グループCになった。わかりやすい!とは思えない。まあ、26日以降の計画停電がどのように発表されるかだが、「あるかもしれない」が続く限り、問題は変わらない。その地域が死ぬだけ。
 計画停電地域の区分けで見ると、吉祥寺(武蔵野市)は滅び、中央線の王座を阿佐ヶ谷(杉並区)に譲る。東京ディズニーリゾート浦安市)は光を失い、としまえん練馬区)、浅草花やしき台東区)は輝く。東京ドーム(文京区)と武道館(千代田区)は盛り上がっても、横浜アリーナ横浜市)とさいたまスーパーアリーナさいたま市)は音を失う。日暮里(荒川区)は上野(台東区)をうらやみ、鶯谷は上野の仲間だったことに気づく(台東区)。グーグルマップでも停電の有無を色分けして欲しいなあ。
東京23区ランキング・赤版 各区の意外な横顔編 だいたい、東京都区部計画停電地帯が足立区、荒川区だけというのも何なのだろう。やっぱり東京都心の人たちは、足立、荒川を一段下に見ていたのか...、と、つい思いたくなってしまう。本当は嫌っていたのか...。しかし、杉並区、世田谷区と武蔵野市三鷹市国分寺市の違いは何なのだろう。江東区江戸川区市川市松戸市柏市の違いは何なのだろう。福島原発の事故をみれば、電力が不足し、停電がやむを得ないことは誰でもわかっている。だが、今のやり方は首都圏を周辺部から壊死させてしまう手法だ。
 総量規制でも何でもやって、停電の頻度と不確実性の確率を下げるべきだ。今のようなことが来年の冬まで続けば、地域は衰退する。自分の努力とは関係ないところで、運命が決まってしまう。商売の勝ち負けが、努力や才覚ではなく、通電地帯かどうかで決まる社会になってしまう。そうなれば、努力する気にも失せてしまう。さらに停電地帯と非停電地帯の間に軋轢も生まれるだろう。資産価格や賃貸価格に「計画停電地帯」であるかどうかが影響を与えるようになるだろう。その土地から生まれる収益に歴然とした差が出るわけだから...。
 計画停電地域であっても、停電のない地域もある。鉄道などの運行上必要、あるいは、防災避難地域だから、巨大なデータセンターがあり、それが止まれば、日本が死んでしまうから、とか、それぞれ理由はあるのだろう。だとしたら、その理由を開示しないと、社会を支える信頼関係の基盤が壊れてしまう。あそこが停電でないのは、えらい人が住んでいるから、みたいな流言飛語が生まれたり、停電・通電の決定に政治的な「裁量」が働いているのではないかという、あらぬ疑念を生むことにもなりかねない。計画停電地域から外してやるなどという詐欺師も出てくるのだろうなあ。
 ともあれ、これから電力需要が減り、一息付ける間に、計画停電を極小化する電力戦略を立てないと、首都圏が死ぬ。夏場、冷房が止まれば、本当に死ぬ人が出てくるだろう。あるいは、計画停電によって地域を殺していき、自発的な首都移転を図るなどという策謀があるんだろうか...。そんな妄想を抱くほど、大変な問題だと思うけど、そうした声があまりなく、25区域に分けてから、いいでしょ、というのは、きっと政治家もメディアも、足立、荒川を見捨てた東京都区部の住人が多いのだろうなあ。
★東電プレスリリース「グループ別対象地域詳細(平成23年3月26日から適用)」 => http://t.co/dOZ6qcj
【やぶしらず通信・関連ログ】
計画停電の「不確実性」に問題があることが認識されているんだろうか?(3月22日) => http://t.co/cYBuzrM
・夏場の電力不足。計画停電回避へ、自民党のいう「総量規制」は検討の余地はないのだろうか(3月21日) => http://t.co/eXLuhPg
・東電が「計画停電」という名の「無計画停電」を実施。これじゃあ、計画が立たない...(3月14日) => http://t.co/F2tH8GK

脱東京主義

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