黛まどか『あなたへの一句』

あなたへの一句

あなたへの一句

 このところ、短歌・俳句に関心を持ち始めて、読んでみた黛まどか編集の俳句集。黛まどかさんは「俳句でエール!」というメルマガを出しているが、1月から12月まで、そのなかから選んだ俳句を1ページ1句、解説とともに紹介していく。芭蕉山頭火から黛さん本人の自作まで、さまざまな句を楽しむことができる。
 印象に残った句をいくつか抜書きすると...

分け入っても分け入っても青い山   山頭火

 山頭火は名前は知っていても、俳句は意外と知らない。ちょっと勉強しみるかな。

 さまざまのこと思ひ出す桜かな   松尾芭蕉

 芭蕉も知っているようで、知らないところがある。この句は知らなかった。たしかに桜は、良い思い出、つらい思い出、さまざまな思い出を呼ぶ覚ます。これからは、桜を見ると、東日本の惨劇を思い出すことになるのかもしれない。芭蕉もきちんと読んでみようか。芭蕉には、こんな句も。

おもしろうてやがてかなしき鵜舟哉 松尾芭蕉

 こちらの句はさすがに知っていたが、こうした感懐は、いつの世にもあるものなのだな。

日の後を追つて行きけり石鹸玉(しゃぼんだま)   佐藤和枝

 これなども味があるなあ。

花の下片手あづけて片手冷ゆ    鈴木榮子

 ロマンティックな風景。最後に、こんな人の句も

セーターの初めての赤灯に揺れて  夏目雅子

 夏目雅子も俳句を読んでいたのだな。