村上春樹『ノルウェイの森』

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

 村上春樹のあまりにも有名な小説。超ベストセラーとなった小説なので、かえって敬遠してしまって、今まで読んでいなかった。で、読み出したら、止まらない。村上春樹の物語の世界に呑み込まれて一気に読んでしまった。『ねじまき鳥クロニクル』が暴力と性と歴史の物語ならば、こちらは愛と性と死と再生の物語。センチメンタルではあるが、心をうつ。人気があるのはわかる。
 しかし、これを映画にするのは難しいだろうな。映像にすると、性的なイメージだけが暴走してしまうのではないかと思える(映画は、どんな感じなのだろう)。加えて、キャスティングが難しそう。主人公に松山ケンイチが選ばれたのは、それはありかな、と思う。ただ、直子役が菊地凛子というと、違うなあ。もっと透明で、はかない感じがする。ミドリを演じる女優さんはいそうだが(何となくイメージとして満島ひかりが頭の中に浮かんできた)、直子が最難関。 
 読んでいると、情景描写には、村上春樹の学生生活が反映されているのではないかと思えた。登場する学生寮は「和敬塾」なのかな、と思ったら、村上春樹和敬塾にいたことがあるという(すぐに出てしまったらしいが)。やっぱりね。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)