山岡道男、浅野忠克『アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書』

アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書

アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書

 タイトルからいって米国の高校で教えている経済学の教科書かと思ったら、NCEE(アメリカ経済教育協議会)のスタンダードによって、日本の現状に合わせて教科書にすると、こんな感じになるというものだった。それでも、いかにも米国流プラグマティズムで、フツーの人が生きていくうえで必要な経済学の基本を学んでいく読み物として面白かった。実際の生活に引きつけて、経済学やパーソナル・ファイナンスを教えるというのは大切なことだな、と思う。
 目次で、内容を見ると、こんな感じ。

第1章 家計の経済学−−どうすればお金を増やせるのか?
 稀少性/インセンティブ/効率的な選択/取引とお金/労働/税金/利息
第2章 企業の経済学−−経営者は利潤の最大化を目指す
 起業家/企業/企業は競争する/均衡価格の作り方(その1 市場価格、その2 消費者の気持ち、その3 売り手の気持ち)/賃金
第3章 金融の経済学−−銀行から上手にお金を借りる方法
 家計と銀行/企業と銀行/金利/パーソナルファイナンスで見る金利
第4章 政府の経済学−−政府も市場も失敗する
 パーソナルファイナンス国債編/財政政策/経済成長と生産性の向上/市場の失敗
第5章 貿易の経済学−−日本は再び鎖国できるか?
 貿易/外国為替相場

 以上を見ても、わかるように、現代的な内容で、高校生や学生が経済学を学ぶ入り口として最適の本。生活と経済学をつなげてくれる。と同時に、テキトーに勉強してきたオトナにとっては、いまさら恥ずかしてく聞けない経済の要点を教えてくれて役に立つ。いまの経済論争を理解する基礎知識を教えてくれる。