ビフォア・サンセット

ビフォア・サンセット [DVD]

ビフォア・サンセット [DVD]

 イーサン・ホークジュリー・デルピー主演、リチャード・リンクレイター監督の「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」の続編で、同じメンバーで9年後に撮った映画。前作は「ビフォア・サンライズ」では、大学生のふたりがウィーンで出会い、朝の便で米国に帰るホークがフランス人のデルピーと夜明けまで街を歩き回り、語り合う映画。今回は、その9年後、ウィーンの思い出を小説にしたホークがパリに出版宣伝に来たところ、デルピーと出会い、今度はパリを歩き回りながら、語り合う。どちらの作品もふたりだけの演技で成り立つ作品。
 今回は脚本にホークとデルピーも参加しているということは、かなりアドリブが入っているのではないかと思うが、ともかく自然な演技。そして、その中に人生の歳月が反映している。ふたりとも良い感じに歳をとったなあ、と思う。特に、デルピーは魅力を増している。少女のような愛らしさ、繊細さを残していると同時に、若い頃と違って言動に遠慮がなくなっくなったり、あるときには、過ぎてきた歳月のなかでの心の傷や痛みを見せたり、9年を経た大人の女性を感じさせる。そして、ふたりとも歳をとって、いろいろな経験をし、自分のことだけでなく、他人に対する思いやりや、やさしさを身につけているから、時折、本音を吐きながらも、相手を気づけないように、すぐにウソだと言ったりする。このあたりのやりとりが自然であると同時に、過ぎ去ったことに対する二人の想いを伝える。前作は、瑞々しい青春の映画だったが、今回は、大人の恋の映画だった。
 見ていて「ビフォア・サンライズ」のほうも、もう一度、見てみたくなった。しかし、「Before Sunrise」と「Before Sunset」と、対をなすタイトルも良くできているし、いい感じの映画。
ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]