アラン・ドロン、
リノ・ヴァンチュラ、
ジョアンナ・シムカス主演、ロベール・アンリコ監督の傑作。青春の冒険と喪失の物語。先日、
シネフィル・イマジカで放映していて再見。
ジョアンナ・シムカスがみずみずしく、美しい。こシムカスのような女優は最近はあまりいない。この映画では役柄でもミューズのような存在だが、作品としても、これはシムカスのための映画といっていい。改めて見ると、ドロンは恐ろしく美しい男優だったと思う。個性派の時代で、こうした美男の時代ではなくなったのだろうが、ともあれ絵になる。そして、ヴァンチュラがまた渋い。映画の中で、シムカス演じる
レティシアはヴァンチュラ扮するローランと一緒に暮らしたいと告白するのだが、実際の
ジョアンナ・シムカスも33歳で16歳年上の
シドニー・ポワチエと結婚して引退してしまった(
ポワチエと「失われた男」で共演したときは26歳ぐらい)。年上の落ち着いた男性が好きだというところは
レティシアのイメージが交錯する。
この映画、主演のトリオがともあれ素晴らしいのだが、パリ、アフリカの海、そしてラストの海に浮かぶ要塞と背景になる風景が美しく、さらにバックに流れるフランソワ・ド・ルーベの音楽が切なく美しい。ロベール・アンリコにとっても、これが最高傑作になるのだろう。ハッピーエンドのオチャラケ冒険ものではないところが、ハリウッドとフランスのテイストの差なのかもしれない。