ドミニク・ローホー『シンプルに生きる』

シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう

シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう

 女性読者向けのシンプルライフ本で、ファッションとか美容とかの項目があったりするのだが、基本的な部分は男が読んでも面白い。究極の「捨てる技術」というか、「捨てる思想」の本。持たない美しさ、簡素な美しさの世界。日本の禅の世界とも言えるし、欧州型の歴史に支えられた贅沢しない贅沢みたいな生き方を紹介している。捨てて、捨てて、そこから心のゆとりが生まれるというような世界。いまのような時代には説得力がある。
 冒頭にシンプル主義37カ条というのが付いているのだが、これがまた徹底していて面白い。「1年間一度も使わなかったものは、すべて捨てる」「取り替えのきかないものはないということを肝に銘ずる」「過去の買い物の失敗にとらわれない。それを捨てることで過ちを償えばいい」とか、まあ、そうなんだけど、そこがなかなか。「好きだけれど一度も使用したことがないものは、写真を撮っておき、処分する」....。豪快だなあ。で、最終的に「泥棒が入っても、とっていくものがないくらいにしておく」。そうありたいなあ。ノートパソコンとスーツケース2つぐらいで暮らすのが理想の形態になるのだろうか。