自見大臣は財界の国粋派とIFRSを潰したい? 適用慎重(抵抗)派が金融庁参与に

融庁の自見庄三郎担当大臣は8月30日に会見し、IFRS国際財務報告基準国際会計基準)の今後の議論に関連し、日本労働組合総連合会(連合) 副事務局長の逢見直人氏、三菱電機 常任顧問の佐藤行弘氏、経団連企業会計委員会委員長を務める廣瀬博氏(住友化学工業 取締役副会長)を29日付で金融庁参与に任命したと発表した。3氏はいずれもIFRS適用についての慎重な姿勢を示している。

 菅政権から野田政権への交代に世間の関心が向いているなか、ひっそりと、しかし激しく国際会計基準IFRS)抵抗派の逆襲が本格化していた。ついに金融庁を制覇した様子。自見大臣はどこで、どうなったのか、いまやIFRS抵抗派に、まる乗っかりしてしまった。あろうことか、抵抗派の中心メンバーである三菱電機常任顧問の佐藤氏が金融庁参与になってしまった。IFRSについて金融庁は公正中立ではなくなるわけか。すごいなあ。
 国際会計基準についてはもともと財界にも、推進派と抵抗派がいたが、抵抗派の大攻勢が展開されている。国際会計基準は、グローバルマーケット化が進み、激変する経済環境のなかで、いかに企業の実態を正確に把握するかという議論が根底にあるのだが、抵抗派の人たちは、どうもグローバルスタンダードに対する感情的反発や変化に対する嫌悪感が先行してしまっているようにみえる。日本伝来の会計をなぜ欧米に合わせて、変える必要があるのかという気分があるようで、つい「抵抗派」というよりも「国粋派」と呼びたくなってしまう。
国際会計基準戦争 完結編 だけど、日本の会計にしても、バブルの時代には、バブルを増幅させるという問題が露呈したわけだし、血管がある。右肩上がりの経済で、インフレの世界では簿価主義的な考え方は保守的で健全と思えるが、成長率が鈍化し、物価上昇率はインフレどころからマイナスもあり、為替も金利も変動する世界にあっては、企業経営にとっても時価会計で資産の実態を捉える必要が出てくる。「失われた20年」をみれば、わかるように、簿価を割り込んでも、いずれは元に戻るというような、時間が解決してくれる世界ではなくなった。加えて、マーケットがグローバル化するなかで、世界の投資家が参考にする統一基準が必要なことも確かだ。IFRSに反対するのはいいけど、抵抗派の人たちが、日本の会計として、そこにどんな解答や思想を持っているのか、よくわからない。
 郵政民営化を潰し、国際会計基準も潰したい。今のまま既得権益を守りたいグループの意向を反映した政治行動というのは、国民新党としてはクリアかもしれないけど、民主党はこうした問題をどう考えているのだろう。やはり民主党は、反自民政権交代以外に思想のない集団だったということなのだろうか。反企業のようにみえて、実は大企業の労組・経営者に寄った政治という雰囲気も。日本では大企業・官公庁の労使は既得権益者という点では利害関係が一致している。自民党は大企業のための政治と批判されたが、民主党自民党社会党のDNAが結合し、大企業と官公庁の労使のための政治となるのだろうか。で、攘夷思想か。

 ※この本から、IFRS導入への反撃が始まったという説も...。この佐藤氏は東京財団の方。