マルジャン・サトラピ『鶏のプラム煮』

鶏のプラム煮 (ShoPro Books)

鶏のプラム煮 (ShoPro Books)

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る ペルセポリスI イランの少女マルジ 『ペルセポリス』のマルジャン・サトラピの最新作。1958年のテヘランを舞台に、イランの伝統楽器タールの奏者である男が妻にタールを壊され、生きる望みを失い、自死するまでの8日間の物語(「訳者あとがき」によると、サラトピの大おじがモデルらしい)。サトラピらしく主人公の家族、親戚など周辺の登場人物のディテールが面白い。時にユーモアやイランの伝承物語的な話を交えつつ、最後には切ないオチが用意されている。最後のオチを知ると、読み終わってから、もう一度、読み返してみたくなる。「鶏のプラム煮」というのは変わったタイトルだが、これは主人公の好きな料理。
 『ペルセポリス』はサトラピの自伝で冒頭から引きこまれていくが、『プラム煮』はゆったりとじわじわと面白くなってくる。映画のような味わいがある。と思ったら、これは既に映画化されているらしい。「潜水服は蝶の夢を見る」や「ミュンヘン」のマチュー・アマルリックの主演で、YouTubeに予告編があった。楽器はタールからバイオリンに変えてあるような気も。
★映画「鶏のプラム煮」(POULET AUX PRUNES)の予告編(フランス語)