日本アカデミー賞、「八日目の蝉」が10冠で圧勝

第35回日本アカデミー賞の授賞式が3月2日、東京・新高輪グランドプリンスホテルであり、成島出監督の「八日目の蝉」が最優秀作品賞を受賞した。成島監督は、「夢を見ているみたい。こんな九日目を見られるとは」と喜びを語った。成島監督の監督賞、主演の井上真央の最優秀主演女優賞を合わせ、「八日目の蝉」は正賞10部門と新人俳優賞を獲得し、各賞総なめの最多受賞作となった。

 昨日の日本アカデミー賞。「八日目の蝉」で賞を総なめ。アニメーション賞と外国映画賞を除いた正賞13部門のうち、主演男優賞、助演男優賞、最優秀美術賞以外のすべての賞をとってしまったわけ。具体的には以下のような具合...

受賞者一覧は以下の通り。
▽最優秀作品賞:「八日目の蝉」▽最優秀監督賞:成島出(「八日目の蝉」)▽最優秀主演男優賞:原田芳雄(「大鹿村騒動記」)▽最優秀主演女優賞:井上真央(「八日目の蝉」)▽最優秀助演男優賞:でんでん(「冷たい熱帯魚」)▽最優秀助演女優賞永作博美(「八日目の蝉」)▽最優秀脚本賞:奥寺佐渡子(「八日目の蝉」)▽最優秀美術賞西岡善信、原田哲男(「最後の忠臣蔵」)▽最優秀撮影賞:藤澤順一(「八日目の蝉」)▽最優秀照明賞:金沢正夫(「八日目の蝉」)▽最優秀録音賞:藤本賢一(「八日目の蝉」)▽最優秀編集賞:三條知生(「八日目の蝉」)▽最優秀音楽賞:安川午朗(「八日目の蝉」)▽最優秀外国作品賞:「英国王のスピーチ」▽最優秀アニメーション作品賞:「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督)

 すごいな。というか、対抗馬となる作品がなかったということだろうか。
八日目の蝉 通常版 [DVD] 英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
 で、米国のアカデミー賞はThe Academy of Motion Picture Arts and Sciences(映画芸術科学アカデミー)が主催しているわけだが、日本の場合、どこがやっているのかと思ったら、「日本アカデミー賞協会」だった。賞のためにつくらられた組織。賞を通じて映画振興という発想なのだな。本家、米国のアカデミーの会員は6000人を超えているが、日本は2011年度の会員が3991人だった。内訳は以下のような感じ。

2011年度会員数3,991名
<会員所属内訳>
俳優=128
日本映画テレビプロデューサー協会=101
日本映画監督協会=149
日本シナリオ作家協会=72
楽家=18
外国映画輸入配給協会 =16
日本映画テレビ技術協会=118
日本映画・テレビ録音協会=37
日本映画・テレビ美術監督協会=28
日本映画テレビ照明協会=64
日本映画撮影監督協会 =75
日本映画・テレビ編集協会=34
松竹=235 東宝=224 東映=329 日活=62 角川映画=63
全国興行生活衛生同業組合連合会・東京都興行生活衛生同業組合=13
マネージャー(映画俳優が所属するプロダクションの代表および担当マネージャー)=105
その他(フリーの映画スタッフ、助監督、助手、ヘアメイク、宣伝、プレス、評論家等)=902
賛助法人会社社員=1016 関係者(協会運営関係者)=138
受賞者、特別会員=64

 米国の内訳はわからないが、日本は企業色が強い感じがする。これも個人よりも会社というお国柄のような気も。松竹、東宝東映のメジャー系3社だけで2割近い。これまでの受賞作を見ても、メジャー系が強いのはそのせいか。まあ、このあたりはハリウッドも同じだろうけど。
 過去の受賞作リストを見ると、伊丹十三は「お葬式」と「マルサの女」、周防正行は「シコふんじゃった」と「Shall we ダンス?」で最優秀作品賞をとっている。第1回目の受賞作は「幸福の黄色いハンカチ」だったのだなあ。「Shall we」も「幸福」も米国でリメイクされているところが共通点か。
日本アカデミー賞公式サイト => http://www.japan-academy-prize.jp/
★過去の最優秀作品賞受賞作 - 日本アカデミー賞公式サイト => http://bit.ly/zQr6bR
幸福の黄色いハンカチ [DVD] 伊丹十三DVDコレクション お葬式 Shall We ダンス? (初回限定版) [DVD]