高田昌幸『真実ーー新聞が警察に跪いた日』

真実―新聞が警察に跪いた日

真実―新聞が警察に跪いた日

 北海道警の裏金問題を調査報道で暴いた北海道新聞が警察の逆襲に屈していく。筆者をはじめとした北海道新聞記者に対する名誉毀損訴訟の中で、原告の警察幹部OBが、北海道新聞との秘密交渉の内容を法廷で暴露する。裏金報道で失われた警察との関係を修復するために新聞社が水面下の交渉で媚を売る姿が情けなくも衝撃的。新聞協会賞や菊池寛賞を会社にもたらした記者たちは切り捨てられる。
 しかし、内々の交渉が秘密裏に録音されていたということは、新聞は完全に警察(OB)にはめられてしまっていたのだろうか。魂を売った新聞社に対する内部告発の本だが、一方で、文中にも出てくるように、根っからの悪人がいるわけでもない。一人ひとりはいい人だったりする。それが組織になると邪悪になってしまう日本の風景が描かれる。さらに、権力を監視する役割でありながら、権力に寄り添ったほうがビジネスとしては楽になる。腐敗を報道する自分の組織のなかにも腐敗があったときに、どう対処するのか。ジャーナリズムとメディア、そして日本について考えさせられる本。
追及・北海道警「裏金」疑惑 (講談社文庫) 警察幹部を逮捕せよ!―泥沼の裏金作り