アントワーヌとコレット

 「大人は判ってくれない」からスタートするフランソワ・トリュフォのアントワーヌ・ドワネル・シリーズの第2作。アントワーヌ、17歳の初恋を描く短編。オムバス映画「二十歳の恋」のパリ編として製作されたものだが、いまでは、このトリフォの作品だけ抜き出してDVD化されたり、放映されたりしている。
 ドワネルの初恋は不器用な片思いで、瑞々しく、初々しい。女の子に近所に引っ越しまでしてしまうのでは、まだ学生の女性にはうざくて、鬱陶しいだろうなあ。それに一目惚れした女性のコレットよりも、両親に気に入れられてしまう。要するに、お目当ての彼女ではなく、両親に持ててしまうタイプの男の子。そのあたりがおかしく、切ない。コレット役のマリー=フランソワ・ピジェが魅力的。少女というよりも、大人っぽいムードを漂わせる。このあたりは当時のヘアスタイルのせいかもしれないが...。シリーズものとしては、アントワーヌだけでなく、親友のルネ君も出てくるところがうれしい。
 で、映画の本筋とは関係ないのだが、アントワーヌはレコード会社(フィリップス)で働いている設定で、LPレコードをつくる場面が出てくる。これってCDしか知らない世代には、何をつくっているのか、わからないだろうなあ。そして、当時のフランスって、こんな手作りでLPを製造していたのかと感心してしまう。
大人は判ってくれない [DVD]

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