渋谷陽一『ロックは語れない』

ロックは語れない (新潮文庫)

ロックは語れない (新潮文庫)

 図書館で見つけた1986年に出版された渋谷陽一の対談集。山下達郎忌野清志郎らがロック体験(遍歴)を語る本で、その意味で出版は四半世紀前でも面白さは変わらない。どれも中学生ぐらいから始まる話だから。懐かしいロック・ミュージッシャンの名前が次々と出てくる。この世代にビートルズの存在は大きかったのだなあ。ジミー・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンローリング・ストーンズビーチ・ボーイズ、それにベンチャーズも。
 目次で内容を見ると、こんな感じ...

浜田省吾
 ビートルズしか愛せない
山下達郎
 ビーチ・ボーイズが僕のすべてじゃない
忌野清志郎
 ストーンズなしでは満足できない
大貫妙子
 のめり込んだ音楽ってないんです
仲井戸麗市
 ギターを手放すつもりはない
遠藤ミチロウ
 パンクにはもう期待できない

 これに「COMPACT ROCK HISTORY WITH ALBUMS」というミニ・ロック史がつく。
 浜田、山下、忌野、大貫のロック・ヒストリーはロック版「私の履歴書」で、どれも面白く、仲井戸のギター大好き話も出色。パンクロックに興味がないためか、遠藤のパンク話は今ひとつ乗り切れなかった。パンクって理屈っぽいというか、よくいえば、戦略的、悪く言うと、反マーケティングの顔をしたマーケティングという感じがしてしまう。実際のライブを見ると、違うのかもしれないけど。