文藝春秋×PLANETS『あまちゃんメモリーズ』

あまちゃんメモリーズ    文藝春秋×PLANETS

あまちゃんメモリーズ 文藝春秋×PLANETS

 「あまちゃん」放映終了後、あまロス向けの出版が相次いでいるが、その決定版を狙う気合いで出されたような本。執筆陣は豪華で、内容も充実しているが、一番の読み物は、「演技していない時は生ごみね」と能年玲奈に言ったといわれる演技の恩師、滝沢充子インタビュー(「 "生ごみ" 先生が初めて語る不器用天才・能年玲奈の素顔」)。能年玲奈って、こういう女優だったのかとわかって面白い。不器用だけど、天才肌なんだ。そして、演技面では滝沢先生から小劇場の演劇ムーブメントのDNAを引き継いだ感じ。だから、能年さんは「あまちゃん」で共演した渡辺えり木野花から愛されていたのかもしれない。撮影中、どんな部分の演技で相談されたのかも明かされている。しかし、能年玲奈滝沢充子と出会わなかったら、どうなっていたのだろう、とも思ってしまうインタビュー。出会いが人生を変えるのだなあ。
 このほかの収録内容では、音楽を担当した大友良英のインタビュー、宇野常寛・中川大地・茂木健一郎中森明夫の基調座談会「『あまちゃん』白熱大論争が面白かった。224ページもある大著。その大半を占めるのは全156エピソード完全レビュー。ただ、この部分は、各週担当のディレクターの撮影秘話が掲載されているNHKウイークリーステラ臨時増刊『あまちゃんメモリアルブック』のほうが面白い。もっとも、NHKのほうは週ごとのまとめのうえ、最終階放映前の出版だったので、最終週は簡単に触れてあるだけで、『メモリーズ』のような完全版にはなっていない。一長一短ということかな。